受験生必読!論説文を得意にする「最大のコツ」 「二元論」で考えれば文章が2色に見えてくる

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対立する概念とは、例えば「心・体」「大人・子ども」「都会・田舎」などが挙げられます。現代の論説文は、このようなプラス・マイナスを軸とした視点で構成されています。

早稲田大学教授の石原千秋氏も『教養としての大学受験国語』(ちくま新書)の中で、次のように述べています。

「進歩的評論であろうと保守的評論であろうと、はっきりと自分の主張を述べる方法は1つしかない。二元論(二項対立)を使うことである。キリスト教文化圏から始まった『近代』では、『善』と『悪』とを対比的に捉えるような二元論的思考を思考と呼ぶ。つまり、二元論によらない思考は思考には見えないということだ」

「二元論」は国語が苦手な生徒への指導から生まれた

この二元論での論説文の読み方を始めたのは、1人の生徒がきっかけでした。現在は医師として活躍しているS君ですが、私の教室に来たときには、文の意味がつかめないどころか、言葉の意味の把握もあいまいな感じでした。

私が何を聞いても、その答えは「わからない」の一言。「これどんな意味だと思う?」「大体の意味でいいからさ」などと言っても、らちが明きません。

そこで困りに困って「いい意味? 悪い意味?」と聞いたのです。そうすると、「悪い意味かな……」などと、それだけは答えられた。このプラス・マイナスがわかるだけで、例えば5つあった選択肢を2つまで絞り込めたりできるようになりました。S君の国語の偏差値は、これが突破口となり最終的に18もアップすることとなりました。

それ以来私は、生徒に「いつも心に二元論」と繰り返し、とくに論説文を読むときには何がプラスで、何がマイナスかを強く意識しながら読むように指導しています。

プラスとマイナスと一言で言っても、筆者が何をプラスとし、何をマイナスとしているかは、その論説文によって変わります。

例えば「都会と田舎」という対立する2つの概念がある場合、「都会をプラス、田舎をマイナス」として展開する論説文もあれば、「都会をマイナス、田舎をプラス」として展開するものもあります。ですから、一概にこちらの言葉がプラスというふうに決めることはできません。それは論説文を読んで初めてわかることだからです。

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