JR東日本の新たな自販機ビジネス
2006年8月に設立されたJR東日本ウォータービジネスが、「自販機イノベーション」を宣言、駅ナカ立地、ブランドミックス機、電子マネー・Suica決済機導入で販売を伸ばしている。
飲料自販機による販売が低迷する中で、同社はこの3年間で自販機での飲料販売を36%伸ばし、自販機部門の年商は08年度で240億円になっている。今後も、JR東日本の駅ナカビジネスと電子マネー・Suica普及路線に沿って、飲料自販機ビジネスを拡大する。
東京・池袋。乗降客の多いJR山手線池袋駅のホームに、同社の新たなコンセプトの自販機が置かれている。目立つデコレーション。「メディアキュア」と名付けられた自販機コーナーだ(上写真)。
この自販機は従来の単一メーカーブランド機から、メーカーにこだわらず、各社の売れ筋商品を集めた「ブランドミックス機」に変え、さらに電子マネー・Suicaで決済できるよう進化させたものだ。各社の売れ筋商品を集めるという点では、コンビニと共通している。
単なる地主から事業主へ 駅ナカ販売の主導権握る
Suica決済機は消費者ニーズに対応し生まれた。財布をバッグから取り出さなくて済むこと、お釣りの面倒がないという点などから特に女性に好評という。
同社が自販機を調達して駅ナカに設置、中の飲料は各社から購入する。自販機の価格は1台60万円ほど。地域ごとに専業オペレーターを選んで、保守や商品の補充、入れ替えを行う。同社が設立されるまでは、JR東日本は従来型の土地オーナーの取り分を受け取る形態だったが、自社で自販機ビジネスを展開する形態に変えた。飲料メーカー、オペレーターとの取引慣行も整理した。
「自販機による定価販売」という点を除けば、ちょうど駅ナカに飲料専門のコンビニができたようなものだ。池袋駅を例に取ると、約50台ものこうした自販機が設置されている。