日産リーフでEV初心者が受けた「充電の洗礼」 初めて電気自動車で国内を走ってみたら…

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しかし前述の気づき、すなわちバッテリーが少ないところからの充電のほうが、30分の急速充電での回復効率がいいことを思い出し、なんとか20%を切るあたりまで走らせる。そんなギリギリのせめぎ合いに、無駄に神経をすり減らしてしまった。

ナビを設定すると、電池残量を参照し、目的地まで到達できないことを教えてくれる(筆者撮影)

日産もそうした不安感には対処してくれている。

内蔵されているナビゲーションシステムは、バッテリー残量と目的地までの距離を見て、充電なしでたどり着けないことを知らせてくれるのだ。そして、充電スポットを経由地に追加までしてくれるのだ。

クルマとの新しい関係を「体験」から考える

新城での観光中に面白かったのは、温泉旅館にも急速充電器が備わっていたことだ。温泉につかりながら電気自動車も充電できるという体験はよかった。人間もクルマも、旅の疲れを癒やすような感覚で、どことなく燃料を給油するクルマにはなかった体験の一体感のようなものを感じずにはいられない。

こうした感覚は重要だ。人と自動車、体験が、今までとは異なる関係性を構築していくきっかけを見出す可能性を秘めているからだ。

またリーフが、自動車との新しい関係を示してくれたのが、2019年に関東地方を襲った台風15号による大規模停電である。日産はリーフを東京電力ホールディングスに39台貸し出し、また被災地の自治体に14台を直接貸し出した。

リーフは普段は家庭の電力で充電することができるが、停電時には逆に家庭に電力を供給する非常用電源として機能する。一般家庭で2〜4日分の電力を、1台のリーフで賄うことができるという。こうして、電力が届かない地域の支援に、リーフを持っていくことで、ライフラインをつなぐ役割を担ったのだ。

「若者の車離れ」の指摘は、都市でのライフスタイルの変化や、個人の投資対象の変化によって、自動車という存在価値が低下していることの裏返しでもある。そもそも、若い人向けの車の提案が、デザインや手頃な価格といったマーケティング上の話に終始していなかったか、今一度考え直す必要がある。電気自動車体験から、そんな感想を得ることになった。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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