テスラはプレミアムスポーツセダンとSUVとして電気自動車の大量生産モデルをスタートさせ、快適性やパフォーマンスを強調してきた。筆者が暮らしてきたカリフォルニアでは、確かにそれらは重要な性能かもしれないし、アメリカでテスラModel SやModel X、Model 3を試したとき、気後れしない軽やかな加速は、移動が比較的長距離になりがちな日常の中で、疲労を軽減させ、結果的に安全性がもたらされると感じた。
しかし日本に戻ると、爆発的な加速を使う場所はなかなか見つからず、むしろ狭い道での取り回しやストップアンドゴーを、いかにしなやかに連続的に行うかが重要となる。その点でも、電気自動車は快適だ。レスポンスが鋭く、必要なときに必要なだけの動力が得られる点は、操っていても楽しい。
テスラと同様、リーフもアクセルペダルのみでのアクセル・ブレーキ操作ができる。初めは戸惑うが、むしろ運転に集中できると感じた。リーフのワンペダル「e-ペダル」では、ペダルから足を離すと停止を保持してくれる。クリープがあるオートマティック車との大きな違いだが、ON/OFFがわかりやすく、むしろ操作がシンプルになった。
センサーは「プロパイロット」を採用
一方、高速道路に出てくると、こんどはセンサーの出番だ。日産をはじめとして各社が力を入れる速度維持、前車追従、車線維持を備えた運転支援機能。リーフでは「プロパイロット」が利用できる。まだハンドルから手を離すことは許されないが、車速と車線の維持を車にアシストしてもらうことができ、長時間ドライブのストレスから大きく解放されることになる。
2019年に発表・発売された新型スカイラインには「プロパイロット 2.0」が搭載された。ナビと連動した高速道路上のルートを、ハンドルから手を離して運転できる自動運転「レベル2」相当を実現し、車線変更も自動で行えるようになった。
プロパイロット2.0でのドライブは、高速道路での移動が退屈になってしまうレベルで、やることがない。しかしケータイを見ることは違法だ。せいぜい前方の景色を楽しみながら、音楽をゆったり聞く過ごし方ぐらいしかない。正直手持ち無沙汰となった。
その新型スカイラインには3.5リッターV6エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドの動力。しかし両車を比べると、個人的にはリーフが勝ちだと思った。
スカイラインはとくに街中で、ハイブリッドとエンジン、ミッションの組み合わせをちぐはぐに感じる場面が多々あった。筆者が住んでいるエリアがアップダウンが多い街だったからかもしれないが、アクセルにワンテンポずつ遅れが生じ、減速時のギアが切り替わる際のショックも気になった。
モーターからエンジンに火が入ったときの音の高まりは、高校自動車部だった筆者からすれば楽しいことこのうえないが、ワンテンポずつ遅れて得られるパワーを前に、だんだんそれも演出過剰なだけに思えてきてしまう。ならばモーターだけのリーフの方が、すぐにパワーが発揮され、十分な低重心でどっしりとした安定感、継ぎ目のない加速と、高い静粛性というメリットが価値となる。
運転支援から自動運転へ、運転にシステムの介入が強まれば強まるほど、車の性能や演出に期待するものも変わってきている。基本的にガソリンエンジンの車を乗り継いできた筆者だが、いつの間にか、電気のほうが快適、という新しい価値感に変わってしまっていたことに気づかされた。
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