トヨタ「エスティマ」が生産終了を迫られた理由 一世を風靡したミニバンの「苦悩と末路」
トヨタのミニバンである「エスティマ」が、次の開発をされることなく年内には販売を終えることになりそうだ。エスティマの初代は、1990年に誕生している。まさにバブル経済期に登場した1台で、好景気の波に乗って生まれたモデルだった。
しかし、同時期に登場した「セルシオ」(現・レクサスLS)は、レクサスブランドの旗艦としていまも健在であり、マツダ「ロードスター」(当時はユーノス ロードスター)も4世代目へ継承され続けている。日産の「GT-R」(当時はスカイラインGT-R)も、一時の空白を挟み生産されているし、ホンダ「NSX」も同様だ。
2018年の販売台数ランキングは47位
バブル経済期に生まれたクルマは、有り余る資金力にあかせて作られたのではないかと思われるかもしれない。もちろん、開発資金は潤沢であっただろうが、ただ漫然と新車投入が行われたわけではなく、日本の各自動車メーカーが積み上げてきた自動車開発の知見の総力を挙げ、理想を掲げ、構想を練り、生み出されている。したがって、それらのクルマに対する消費者の敬意が存続を促してきたといえるだろう。
自動車販売協会連合会(自販連)の乗用車ブランド通称名別販売台数ランキングによれば、エスティマは2018年の1~12月で9062台を販売し、47位に付けている。現行モデルは、2006年にフルモデルチェンジをした3代目で、すでに新車から13年を経ている。それでも50位以内に残っている点でひどく売れ行き不振とは言えず、「底堅い」と評価できるのではないか。
そうした中、ミニバンブームがやや下火になっているとはいえ、トヨタでは「アルファード/ヴェルファイア」や「ノア/ヴォクシー/エスクァイア」は好調な販売を続けており、エスティマが生産を追えるほど惨敗を喫しているのか、気になるところだ。
2019年に入ってからも、一時的に50位を割ることはあったが、昨年の平均月販台数である755台を上回る970台(6月)、851台(7月)といった月もある。
それでも、エスティマを止めなければならない理由はどこにあるのだろうか。
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