トヨタ「エスティマ」が生産終了を迫られた理由 一世を風靡したミニバンの「苦悩と末路」
トヨタは、1997年に世界初の量産ハイブリッド車である「プリウス」を誕生させた。そしてトヨタは、ハイブリッド車普及のため、いくつかの方式の異なるハイブリッドシステムを、エスティマや「クラウン」に採用し、その行方を占ったのである。エスティマは、省エネルギーの原動機の未来をも模索する、未来を占うミニバンだったとも言えるのだ。
望まれるハイブリッドの「その次」
一方のホンダ オデッセイは、3代目4代目で車高を低くした走りのよいミニバンという独自の構想を打ち出していたが、ミニバンの価値は広い空間利用にあり、5代目となる現在モデルは、全高を高め空間にゆとりを持った姿へ戻っている。
オデッセイは、本来のミニバンの姿に戻されたことで、月販1200~1300台近辺で毎月安定的に販売されており、今年9月には1654台という数字を残している。1994年に誕生したオデッセイは、25年を経た今日もミニバンの代表としてのブランド力を保持していると言えるだろう。
エスティマは、オデッセイに比べて約4割減という販売実績にとどまっているが、冒頭述べたように、同じクラスのミニバンの双璧と言えるまずまずの販売台数は維持している。それでもオデッセイとの明らかな差は、どこから来るのだろう。
トヨタは、ハイブリッドで電動化の先陣を切った。だが、2010年前後に三菱自動車工業の「i-MiEV」と日産自動車の「リーフ」という2台の電気自動車(EV)が発売されて9年を経た今も、国内でEVの販売を明確にしていない。また、プラグインハイブリッド車も「プリウスPHV」のみにとどまっている。
燃費向上という点では、プリウスに代表されるハイブリッドで十分な実績を得ているが、消費者の目はすでに「その次」を望んでいるのではないか。
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