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「死にたい場所を選べない」日本人の悲しい最期 最期まで望みを持って生きられる社会へ

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  • 井手 英策 慶應義塾大学経済学部教授
  • 佐々木 淳 医療法人社団 悠翔会 理事長
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井手:まったく同感です。公的な保険や財政の目的は、人間が暮らしていくうえで必要な、最もベーシックな部分を支えることです。経済的な理由で病院に行けない人は、そのせいで生命の危機に陥ってしまうかもしれない。そうならないよう、財政や公的医療保険を整えることで、必要な医療を誰でも受けられるようにする。

ですが、そういったベーシックサービスを充実させたとしても、先ほど言われた「今日よりいい明日」を夢見る自由とか、ささやかでも幸せを追求したいという思いをどう満たしていくかという問題は残ると思うんですね。そこで重要な役割を果たすのが、在宅医療を行う医療チームやソーシャルワーカーといった、それぞれの困りごとに汗を流す人たちだと思うんです。

人は地域の中で生きている

佐々木:そうですね。それで言うと、社会の中に居場所とか役割があると、それが生きがいにつながっていくと思うので、コミュニティーの役割もとても大きいと思っています。

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井手:そうなんです。ところが、財政的な負担が増える一方なので、東京のお年寄りを地方の介護施設へ入居させればいいといった議論が平然となされたりします。

こうした議論では、お年寄りが人間として扱われていないんですね。その人が、それまで培ってきた人間関係から暴力的にいきなり切り離されてしまうわけですから。

こうして佐々木さんのお話をうかがっていても、あるいはソーシャルワーカーの仲間たちから話を聞いても、地域の中で人は生きているという当たり前の事実をとても大事にしていることが伝わってきます。僕はそこにすごく共感するんですよね。

(後編に続く)

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