普通の女子高生が「小売の極意」をつかめたワケ “デジタルネイティブ"はこうやって考える

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その頃、毎日のようにオークションサイトやフリマサイトで中古のロリィタ服を探し求めていたので、さまざまなことに気づきました。例えば一般の若い人も多く使うフリマサイトでは写真や説明文がきちんとしているけれど価格が高く、一方で、業者が多く一部のハイリテラシーな人だけが利用していたオークションサイトは写真や説明文は雑だけど価格が安く設定されていること、などなど。

こうして私は、オークションサイトでウィッグを仕入れ、フリマサイトで売るようになりました。そして、月に3万〜5万円程度、多いときで10万円を超える収入を得るようになったのです。

ネット転売から学んだ、小売業の極意

当時、転売をする際に意識したのは、「写真の撮り直し」と「タイトル・商品説明文を吟味すること」の2点です。

写真については先にも述べたように、オークションサイトの写真は画質が最悪だったうえ、ほかのサイトからの盗用なのではないかと思われるものも多くありました。また、当時のファッションウィッグの商品写真は、多くがマネキンに商品をつけた白バックのもの。これでは無機質な印象を与えるうえに、着用したらどうなるかが想像しにくいと感じました。

そこで私は、100円ショップで購入したヘッドトルソーにウィッグをつけ、あえて自室で撮影した写真を使うことにしました。ほかにも、実際に自分が着用した自撮り画像(顔はスタンプで隠しましたが)を商品写真として使うことも。そうした工夫を施すことで、私自身がオークションサイトから購入した際に感じた不安を解消できたと思います。

タイトルと商品説明文に関しては、とにかく一目でわかりやすく、正直な内容を心がけました。タイトルではファッション用のウィッグであること、新品であることを少ない文字数で的確に表現し、商品説明文では「少し絡みやすいですがテカリがなく自然な髪質です」というように、商品の特徴を正直に伝えることを意識しました。

さらに、写真やタイトル、説明文を吟味するうえで大事なのは、「ターゲットを絞って価値提案をする」ことです。例えば、私が当時転売していたウィッグの中には、コスプレ用として販売されていた商品も多くありました。

『私だけの選択をする22のルール あふれる情報におぼれる前に今すべきこと』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

ですが、「以前はやったキャラのコスプレ用ウィッグ」を求めている人よりも、「かわいいロリィタ服に合うファッションウィッグ」を探している人のほうが多いだろうと思ったのです。そこで、写真にしろ、文章にしろ、ファッションウィッグとしての価値を提案し、理解してもらえるよう意識しました。

ターゲットがどういうことに不満を持っているのか、どういう商品がほしいのかを考え、その人たちの購買意欲を後押しする見せ方は、小売りの仕事をするうえで非常に大事なポイントです。今思えば、このときに身に付けた「ターゲットを明快にすること」「ターゲットの購買意欲を後押しすること」という2つのルールは、ものを売ることの基礎であり、後に小売りを職業とした際にもとても生かされました。

このウィッグ転売の経験から、オンラインでものとお金のやり取りをすることに対しての抵抗感が、私は人一倍低かったのだと思います。この後、15歳のときにロリィタ服に合わせようとつくった「キリトリ線タイツ」が好評となり、インターネットを使って販売するようになりました。この頃から“ハヤカワ五味”と名乗るようになり、ビジネスの世界に足を踏み入れていったのでした。

ハヤカワ 五味 株式会社ウツワ 代表取締役社長

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はやかわ ごみ / Gomi Hayakawa

1995年東京生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。高校生の頃からアクセサリー類の製作を始め、プリントタイツ類のデザイン・販売を行い、大学入学後はワンピースブランド《GOMI HAYAKAWA》、2014年にランジェリーブランド《feast》、2016年にワンピースブランド《ダブルチャカ》を立ち上げる。2018年にはラフォーレ原宿に常設直営店舗《LAVISHOP》を出店。2019年からは、生理から選択を考えるプロジェクト《illuminate》をスタート。

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