アマゾン運営「仕事サイト」の過酷すぎる実態

メカニカル・タークを使って働いてみた

アマゾンが運営しているクラウドソーシングサイト「メカニカル・ターク」の実態とは?(写真:Rawpixel/iStock)

パソコンの画面には、教育委員会の会議を思わせる写真が映し出されていた。私の仕事は「愛国心」だとか「エリート主義」だとか「人を安心させる力」とかいった23の観点から5段階評価でそれを採点することだった。

私はヘッドフォンをかけた女性の写真を見ながら同じ作業を行った。「有能である」に4点、「恐怖心を感じさせる」には1点。そして、青いウインドブレーカーを着た笑顔の男性を囲む5人の、やはり笑顔の女性たちのうち1人についても採点を行った。

答えを送信して時計を見ると、3分が経過していた。

コンピューターの代わりにタスクをこなす労働者とは

これで私はアマゾンが運営しているクラウドソーシングサイト「メカニカル・ターク」で、5セント稼いだことになる。少なくとも私はそう思った。もっとも数週間経った今でも確信はない。

この世界には小銭を稼ぐ方法はいくらでもある。アマゾン・メカニカル・タークは2005年のスタート以降、世界に冠たるアマゾン帝国のうす暗い片隅で多かれ少なかれ発展を遂げてきた。そしてごくごく少額の金を稼ぐための不安定で不透明で、時にイライラさせられる「働き方」を提供してきた。

メカニカル・ターク(機械仕掛けのトルコ人の意)という名前は、18世紀に作られたチェスを打つ「機械」に由来する。実はこの中には、生きたチェスの達人が隠れていた。同様に現代のメカニカル・タークでも何千人もの人々が、コンピューターには容易にこなせないタスクを担うことでいくばくかの金を稼いでいる。

仕組みはこうだ。雇用主(依頼者と呼ばれる)は、メカニカル・タークのサイトに仕事を投稿する。仕事は「ヒューマン・インテリジェンス・タスク」略してHITと呼ばれ、請求書を書き直すとか、研究に参加するとか、人工知能(AI)を訓練するために写真にキーワードを付けるなどさまざまだ(時として写真の中には、斬首の場面などぞっとするものも含まれている)。

HITを請け負うフリーランスの労働者は、一般には「ターカー」と呼ばれる(公式な呼び名ではない)。先を争うようにHITを請け負い、アマゾンの創業者であるジェフ・ベゾスがかつて言ったように「人工的な人工知能」とでも呼ぶべきものを提供する。たいていのHITの報酬は1単位あたり10セント以下で、その日によって変動もする。1セントしかもらえないようなタスクもある。

次ページ時給に換算した報酬は…
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