アマゾン運営「仕事サイト」の過酷すぎる実態 メカニカル・タークを使って働いてみた

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メカニカル・タークを仕事にするうえでのもう1つの問題は、生々しい画像を含むHITがあることだ。ミランドは数年前、イスラム国(IS)が公開した写真にキーワードを付ける仕事をやったことがある。

「キーワードを考えつくには画像の中身を理解しなければならない」と彼女は電子メールで述べた。「『オレンジ色のつなぎ』とか『牢に入れられた捕虜』とか『火の上の捕虜』とか『爆発物の上でひざまずく人』とか『頭部がいっぱい入ったかご』とか」。この仕事の報酬は、写真1枚につき10セントだった。

薄給で働かせている依頼者側の本音は

数カ月前、「スプリンクルズ123」と名乗るターカーは法律事務所の仕事を請け負った。仕事の内容は模擬裁判の陪審員を務めるというもので、手足を切断する大けがや重度のやけどを負った自動車事故の犠牲者の写真を見る羽目になった。

「写真はたくさんあった」と、スプリンクルズ123はダイレクトメッセージで取材に応じた。「今でも思い出すし、着手しなければよかったと思う」。そんな仕事はごく一部にすぎないし、たいていは警告もついているし、途中でやめるという選択肢もある。だが、いったん着手したら最後までやり遂げてしまうのがターカーの性なのだ。

最後にやったタスクは、絵画を見て『肖像画』とか『女性』とか『長髪』といったキーワードを1枚につき10個考えるというものだった。報酬は絵画1枚につき1セントだ。

依頼者はオーストリアの複製絵画販売業者、マイスタードルックだった。同社はこうしたタスクを何万件もメカニカル・タークで公開している。私は同社のゲオルク・ペトリッチ最高経営責任者(CEO)に対し、10件のHITに9分15秒を要し、時給に換算すると65セントだったことを伝え、これほどの薄給で人を雇っていることについてどう思うか聞いてみた。

「フェアだと思っていると言ったら、うそになるだろう」と彼は答えた。「だがちょうど昨日、モルディブの『ゴミの島』についてのドキュメンタリーを見たのだが、人々が燃えるゴミの中で健康と生命を危険にさらしながら働いて、収入は月に200ドルほどだった。メカニカル・タークはまさにああいう仕事のためにあるのかもしれない」。

(執筆:Andy Newman記者、翻訳:村井裕美)
(c) 2019 New York Times News Service

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