事務系仕事しかできない人を待つ「淘汰」の未来 AI時代に「10年後なくならない」仕事は何か?
会社に属すひとと属さないひと
働き方には大きく3つある。クリエイター、スペシャリスト、バックオフィスだ。これはとても大事なことだけど、日本ではなぜか誰も教えてくれない。
クリエイターというのは、「クリエイティブ(創造的)」な仕事をする人で、スペシャリストは「スペシャル(専門)」を持っている。それに対してバックオフィスは「事務系」の仕事だ。
これらのいちばんの違いは、会社に属しているか、属していないか、だ。
クリエイターというとマンガ家やミュージシャンを思い浮かべるだろうけど、プロスポーツ選手やベンチャー起業家も含まれる。日本でも世界でも彼らには際立った特徴がある。それは「会社員ではない」ことだ。
サラリーマンをしながらライブハウスのステージに立つミュージシャンは、音楽活動で会社から給料をもらっているわけではない。会社勤めのプロ野球選手はいないし、ベンチャー起業家(自分で会社を立ち上げる人)が会社員というのはそもそも定義矛盾だ。
それに対してバックオフィスは、非正規やパート、アルバイトなど雇用形態に違いはあっても、全員がどこかの組織に所属している。事務系の仕事というのは、その「事務」を発注して管理する会社がないと成り立たないのだ。
スペシャリストはこの中間で、組織に属さずに仕事をする人もいれば、どこかの組織に属している人もいる。典型的なのは医者で、自分の病院を持てば「開業医」、どこかの大きな病院で働けば「勤務医」と呼ばれる。弁護士や会計士・税理士、プログラマーやコンサルタント、トレーダーなどにも、組織に属している人と属していない人がいる。
組織に属していないクリエイターとスペシャリストは、「フリーエージェント」とか「インディペンデント・ワーカー」と呼ばれる。要するに自営業者のことだ。ここまでは世界共通だけど、スペシャリストとバックオフィスの扱いでは、日本と世界は大きく異なる。
いまでは欧米だけでなく中国なども含め、「外資系」の会社では、組織の中でスペシャリストとバックオフィスがはっきり分かれている。投資銀行でいえば、スペシャリストは株式や債券を売買したり、顧客(機関投資家)に営業したりする人で、バックオフィスはその取引を記帳するのが仕事だ。この2つはまったく違う世界で、彼らは相手のことを「同僚」だなんて絶対思わない。
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