中部空港に「飛行機遊園地」が生まれた理由

シアトル発店舗が出店、初年度160万人が来場

中部地方は元来、日本における航空産業のメッカだ。戦時中の「零戦」開発に始まり、リージョナルジェットを開発中の三菱重工業や、中島飛行機が前身のSUBARU、川崎重工業などの航空関連工場や関連部品メーカーが戦前から集積している。

中部経済産業局によれば、2018年の中部5県における航空機・部品生産の国内シェアは50%に上る。

ボーイングの生産工程においても中部の航空産業はプレゼンスを高めている。ボーイング機における日系企業の生産分担比率は767型機で16%、777型機で21%と徐々に向上。最新の787型機では三菱重工業が主翼、SUBARUが両翼の中央部分、川崎重工業が前部胴体などを担い、生産分担比率は35%に達する。

人材育成や教育に初号機を役立てる

製造された主翼や胴体は当然、ボーイングの最終組み立て工場があるアメリカへ運ばなくてはならない。ただ、こうした部材は巨大かつ重量がかさみ、空港内で輸送機に積み込むまでの動線に専用の保管庫やトラック、陥没しない道路などが必要となる。アメリカへの部材輸送における玄関口となる中部国際空港は、シアトルのボーイング本体と話し合い、特殊なインフラを整備してきた。

ボーイング ジャパンのシェイファー社長は会見で感謝の意を述べた(記者撮影)

こうした中部地方全体の貢献があって、ボーイングは787型初号機を中部国際空港に無償で寄贈した。今年10月の会見時にボーイング ジャパンのウィル・シェイファー社長は「787は日本とボーイングのパートナーシップを象徴するもので、日本とともに作られている」と感謝の意を述べた。

実はこの寄贈に併せ、ボーイングから中部国際空港へある要望がなされていた。787型初号機を次世代の航空業界を担う人材育成や教育に役立たせることである。フライト・オブ・ドリームズのプロジェクトを担当してきた中部国際空港の渡辺沙央里アシスタントマネージャーは「歴史的にとても価値のある飛行機で、私たちがもらっても『何ができる?』という不安はあった。機材が正式に寄贈された2015年7月時点でも、どうやって飛行機を使うかというコンセプトはまだ構想の最中だった」と振り返る。

渡辺氏らは、ボーイングのおひざ元であるシアトルの航空博物館など世界の事例を調査した。ただ、日本は鉄道ファンに比べると、航空ファンの数は少なく、博物館にしても、コアな航空ファン層しか楽しめない施設になってしまいかねない。

渡辺氏は「私たちに課された役目は、広く次世代の子供たちに『飛行機ってかっこいい』『航空機に関わる仕事がしたい』と思ってもらうこと。航空ファンだけが大興奮の施設ではなくて、むしろ飛行機にあまり乗ったことがなければ興味もない人に『飛行機って実はかっこいい」って思ってもらう施設にしたかった」と話す。

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