「ニベア」が50年で圧倒的な地位を築けた理由 定番品が「手軽なコスメ」で再ブレイク

拡大
縮小
(左上から)アールヌーヴォー缶、初代ブルー缶、日本発売時の缶(左下から)メルヘン缶、キッズ缶、さくらももこさんデザイン缶、2019年デザイン缶(画像提供:ニベア花王)

その1つが1982年から始めた限定販売の「デザイン缶」だ。初代は通称“メルヘン缶”と呼ばれ、以後、「花」(1987年)、「ペンギン」(1995年)、「うさぎ」(1997年)などのデザイン缶も登場。「ちびまる子ちゃん」で知られる、さくらももこさんデザインの缶は話題を呼んだ。現在もデザイン缶は限定販売され、「完全収集」を目指すファンもいると聞く。

美容サイトの「コスメ大賞」も追い風に

安定していた日本のニベアの勢いが増したのは、2011年の取り組みからだ。

「グローバルでの発売100周年を機に中断していたCMも再開。これを機に売り上げが拡大しました。ニベアクリームの売れ行きは現在、日本がナンバーワンです」(雨宮氏)

2年後、追い風が吹く。コスメ・美容の情報サイト「アットコスメ」(@cosme)の「2013年@cosmeベストコスメ総合大賞」を受賞したのだ。これ以降、10代や20代の注目度も高まり、メーカーが言ってこなかった「青缶」という言葉がネット上で沸騰した。

また、「顔にも使えるスキンケアクリーム」という性能も再訴求するようになった。

「ニベア=ハンドクリームと誤解される人も多いのですが、手にも顔にも身体にもご利用いただける商品です。顔用に使う娘さんが、お母さんに勧めてくださるケースもあります」(雨宮氏)

さらにネット上で「実はニベアの成分は、高級ブランド『ドゥ・ラ・メール』に近い」という情報が流れ、美容意識の高い女性の注目も浴びた。

今回、筆者は仕事上で付き合いのある、何人かの“美容番長”(20代と30代)にも聞いたが、全員が「ドゥ・ラ・メールとニベア」の話は知っていた。そのうちの1人は「ニベアをまつ毛に塗ると、伸び効果が実感できる」という話もしていた。

次ページSNS時代の到来により、使用方法が広がった
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT