年間20万人が孤立死。家族難民があふれる日 山田昌弘氏(中央大学文学部教授)に聞く

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──日本社会の家族モデルはなかなか変わりません。

「標準的な家族」を前提とした労働の仕組みや社会の制度を全部変えていく必要があるが、なかなか変わる気配はない。人数が多いのは高齢者で、声が大きい人は標準的な家族をつくれている人だ。正社員と非正社員の格差があるのは正社員が組合の代表で、非正社員はどうでもいいと思っているからだ。非正社員の時給を5円、10円上げるより、格差をなくすほうが重要なのだ。組合が自分たち正社員を守っていくのはいいのだが、守っていく人の割合がどんどん減っているという事実をもっと厳粛に受け止めたほうがいい。

非正社員が増えていて、どうにかしなくてはいけないのと同じように、標準的な家族が減っていて、標準的な家族をつくれない人が増えているのだから、社会制度を含めた形で変えていかなければいけない。そうしなければ、標準的な家族をつくれなかった人は、ますます「家族」難民化し貧困化が進む。

──個人としてはどうすれば。

自分を大切に見てくれる人は、生きていくうえで誰でも必要とする。それは従来どおりの家族であってもいいし、そうでなくてもいい。いろいろな形で、そういう人を増やせるように社会に働きかけることだ。非正規雇用の問題も、人が朝から晩まで働き、安心して生活できるようにすべく皆で努めたいものだ。

『「家族」難民』
朝日新聞出版 1680円 214ページ

やまだ・まさひろ
1957年生まれ。東京大学文学部卒業。東大大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。東京学芸大学教授を経る。専門は家族社会学。親と同居して独身生活を続ける若者をパラサイト・シングルと呼び、格差社会という言葉を浸透させた。婚活をキーワードにしたブームの火付け役ともなっている。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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