金銭感覚のズレで婚約破棄した38歳女性の決意 コスパの良しあしでメニューを選ぶ40歳男性

✎ 1〜 ✎ 71 ✎ 72 ✎ 73 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

絵都子の剣幕に驚いたのか、晴一はボソッと言った。

「相談所のときは、デートのお金はすべて男が出すように仲人さんに言われていたから」

仲人に言われていたから、出すのは惜しかったけど出していたのか。その言葉を聞いて、絵都子は心底ガッカリした。

その日を境に、晴一はあまりお金のことを話題にしなくなった。一方で、絵都子の中では、この人と本当に結婚していいのかという思いが、日に日に大きくなっていった。

婚約破棄を決めた決定的な出来事

あるとき、晴一の会社の同期が、退職をすることになった。ステップアップを図り、もっと給料のいい会社に転職を決めたのだという。その送別会があったそうなのだが、晴一は参加しなかった。その理由をこんなふうに言った。

「これからもっと稼ぐようになるヤツのために、僕らが会費を払って送別会をやるのって、おかしいよね。そいつがごちそうしてくれるなら、僕は行くけど」

さらに、ある国会議員の不祥事がテレビのニュースで伝えられたときには、テレビを見ながら、いかにも憎々しそうに言い放った。

「コイツらは、僕らの税金で高い給料をもらって、一等地にある官舎に安い家賃で住んでる。本当にどうしようもないよな!」

お金には細かいが、人を悪く言ったりしない穏やかな人だと思っていたが、それを言い放ったときの顔がゾッとするくらい醜く、絵都子の背筋は凍りついた。心の中の幕がストンと降りた。2週間後には晴一の両親が出てきて、両家の顔合わせを行うことになっていたが、その前に婚約破棄をしたほうがいいと、このとき強く思った。

次ページ実家で両親に気持ちを告げると…
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事