「どうもこれまで女運がないというか……」
面談に来た大森康之(仮名、38歳)は、椅子に腰をかけるなりこう言った。身長170センチ弱の中肉中背、いかにも人のよさそうな目が、メガネの奥から覗いていた。
「とはいっても、恋愛経験も少ないんですけど。ちゃんと彼氏彼女として付き合ったのは、大学生のときに1回、20代後半のときに1回の計2回ですから。ただどちらとも、彼女に浮気をされて終わっているんです。浮気っていうか、付き合っている最中にほかの男が出てきて二股かけられた。それに僕が気づかず付き合っていて、結局は彼女が向こうの男性のほうに行って、フラれてしまった。20代後半のときの彼女とは結婚も真剣に考えていたので、ほかに男がいたのがわかったときは、相当ショックでした。まあ、典型的な恋愛強者に恋愛弱者が負けた図ですね」
康之は、自嘲気味にこう言った。
「もう38なんで、子どもを作ることを考えたら、ここ1、2年のうちに真剣に結婚をしたい。じっとしていたら出会いがないと思って、最近は合コンみたいな飲み会に誘われれば出て行くようにしていたんですけど、そういう場でも、話のうまい女慣れした男が、女性を持っていく。そこもまた弱肉強食の世界なんですよね」
確かに合コンのような団体戦では、見た目がよくてしゃべりもうまく、コミュ力のある男性にはかなわない。しかし、そこで端(はな)から負けを認めて、自分を弱者というポジションに位置づけてしまうのは、いかがなものだろうか。
「いや、だからですね、弱者には弱者の戦い方があると思ったんですよ。それで1対1のお見合いのほうが自分には向いているんじゃないかって」
女は刺激を与えてくれるスペックの高い男が好き
「女運がないというけれど、たった2回の恋愛でそう決めつけてしまうのは、早すぎるんじゃないですか?」
康之の見た目は、決してモテないタイプではない。男臭さはないけれど、誠実でまじめそうで、何よりも清潔感がある。彼氏や夫にするなら申し分のないタイプではないか。
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