「ああ、この方も恋愛をせずに年を重ねてしまったのか!」
面談に来た人たちに、これまでどんな恋愛をしてきたかを聞くのだが、その度にこんな感想を抱くことが多い。相談所に訪れる人の多くが、学生時代から現在に至るまでにお付き合いした人数が、1人か2人程度。中には異性とまったく付き合うことなく40代や50代になってしまった人たちもいる。
5年ごとに行われている国立社会保障・人口問題研究所の調査でも、恋愛離れの傾向が読み取れる。18歳から34歳の独身者5276人を対象にした2015年の調査では、「交際相手がいない独身者」は、男性が69.8%、女性が59.1%と過去最多という数字になった。また性交渉の経験がない独身者の割合も、男性42%、女性44.2%と増加している。
近年メディアでも、“恋愛や結婚をするのが面倒”という人が増えていることが話題になっている。
ただ筆者が感じるのは、恋愛をしてこなかった人たちは、“恋愛が面倒だったから恋愛しなかった”のではない。面談にやってきた人たちの話を聞いていると、「本当は恋愛したかったが、その勇気がなかった」「年を重ねてしまうと恋愛するハードルが上がり、どうやって異性とかかわったらいいのかわからない」「それでもなんとか結婚したい」、そんな人たちがほとんどなのだ。
もちろん結婚したくて面談にやってくるのだから、そういう属性になるのだろう。ただ適齢期になっても結婚しない独身者たちを“恋愛や結婚に興味がない” “恋愛や結婚は面倒”と十把一絡げにくくっていいものか。そこにはいつも疑問を感じている。
両親が「人付き合い」が苦手だった
「僕もかつては、“恋愛するのは面倒”だと人には言っていましたよ。でも、それは表向きの理由で、本当は恋愛したかったけれど、どうやればいいのかわからなかった」
久しぶりに会った丸山巌(42歳、仮名)は、言った。巌は、昨年の2月に成婚退会をした会員だ。身長は170センチ。3週間に1回は散髪屋に行くという髪の毛はこの日もきっちりと整髪されていて、そこには几帳面な性格とまじめさが出ている。彼はなぜ婚活をして、結婚をしようと思ったのか。そんな彼がなぜ婚活をして、結婚をしようと思ったのか。
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