確かにお金のことを言うのは、女性よりも男性のほうが多い。私の男性会員の中には婚活がうまくいかず交際終了になったときに、「こっちがいくら金を使ったと思っているんだ。あのお金があったら、欲しかった○○が買えた」とか、「婚活くらいコスパの悪い投資はない」と言っていた人たちがいた。
晴一は、有名私立大学を卒業し、大手メーカーに勤めている年収500万円の男性。都内に1人暮らしをしているので、お金はきっちりと計算しながら使っていかないと貯金もできないし、貯蓄がなければ将来家庭を持つのも不安。そこは理解できるし、きっちりお金を管理することは悪いことではない。
結婚するなら浪費家よりも倹約家
絵都子は言った。
「世の中には、後先考えずに好きなものを買ってしまったり、ギャンブルにのめりこんで借金を作ったりする男性もいるので、それに比べたら堅実でいいなと最初は思っていました」
だからお金に細かいのは気になったものの、仮交際から結婚を前提にした真剣交際に入り、その3カ月後にはプロポーズを受けた。
「プロポーズは、都内の夜景がきれいに見えるビル最上階のレストランでした。コース料理を食べて、最後に“Marry Me”とチョコレートで書かれたケーキがサプライズで出てきました。“ああ、こういうことはちゃんとやってくれるんだな”と思ったし、そのときは本当にうれしかったんです」
そして、絵都子は成婚退会をしていった。
しかし、成婚退会後は外で食事をあまりしなくなり、お互いの1人暮らしの家を行き来することが多くなった。映画を観ても、その帰りにスーパーで夕食の食材を買い、どちらかの家で何かを作る。
「彼は料理が得意で、何でも手早く作ってくれました。私よりも料理上手。最初はそれに感動していたんですが、食べるときに、『これを外で食べたら1000円。でも家で作ったら材料費は200円いかない。やっぱり外食って、損だよね』とか、必ずお金のことを言うんです。最初は聞き流していましたが、だんだんうっとうしくなっていきました」
しかし、仲も深まれば言いたいことも言えるようになっていたので、「またお金の話?」と、ちょっとイヤミっぽく言うと、それ以上は何も言わずに話題を変えるようになっていた。
「お金に対する考え方って、お互いが育ってきた環境で違いますよね。だから、その都度注意していけば、思っていても言葉にはしなくなる。そういう習慣を身に付けてもらえばいいやって考えました」
何より浪費家よりも倹約家のほうがいいんだからと、絵都子は自分に言い聞かせていた。
そして、結婚話も進んでいき、お互いの家にあいさつに行くことになった。
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