金銭感覚のズレで婚約破棄した38歳女性の決意 コスパの良しあしでメニューを選ぶ40歳男性

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絵都子の家では、地元の老舗和食屋の個室を取り、祝いの膳でもてなした。すると、帰り道に晴一が言った。

「あんな高級な御膳、生まれて初めて食べたよ。あれ、1人5000円するよね。お義父さん、お義母さん、義妹さんと僕らで、5人分。すごい金額だなぁ」

“また値段のことを言っている。もっと高いんですけど”と思ったが、おめでたい日だったので、絵都子は何も言わなかった。

そして翌週は、晴一の実家にあいさつに行った。実家は、新幹線で2時間の地方にあったが、実家に行くと晴一の母が手料理でもてなしてくれた。

「田舎料理ですけど、お腹いっぱい食べていってくださいね。この辺りは野菜だけは新鮮なんですよ。ウチも畑で作っているし、ご近所も農家が多いんで、野菜は取れたものをもらったりするから、買ったことがないの。東京は野菜も高いんですってね。野菜だけじゃなく、いろんなものが高いって、いつも晴一がこぼしています」

母親にもお金の話をしていることが気になったが、何より気のよさそうなご両親だったので、絵都子もにこにこしながら話を合わせた。そして、その日は、晴一の実家に泊まった。

「ホテルを取りましょうよ」と絵都子は提案したが、「実家に泊まれるのに、ホテル代がもったいない」と晴一が言ったからだった。すでに男女の関係になっていたし、結婚のあいさつに来たのだからそれもよいだろうと、そこは絵都子が折れた。

何でもお金に換算が、だんだん苦痛に

両親のあいさつを済ませ、結婚指輪や結婚式場をどうするかという話に進んでいった。

指輪の話になったときに、晴一がこんなことを言った。

「指輪は、友達で宝石の卸をしている人がいて。その人に頼むと安く買えるから、それでいいかな。友達の話だと、宝石って原価の10倍くらいで売られているらしいよ。宝石を採掘して、仕入れて、デザインして、完成したものが販売店に並ぶ。いくつもの業者が関係しているから、中間マージンがどんどん乗っていって高くなるんだって。ブランド品だと、そこにブランドの価値が加わるから、さらに高くなるって言ってたよ」

「ああ、またお金の話か」と、絵都子はうんざりした。高級ブランドの高い指輪を買ってもらうつもりはなかったが、あれこれジュエリーショップを見て回るのも、一生に一度のことだからしてみたかった。

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