小林武史さんの農場で"異分野の若者"が輝く訳

「なんでその仕事なの?」にはこう答える

小林武史さんの”農場”で働く若者たちの意外な経緯とは?(撮影:東洋経済オンライン編集部)

総合商社を辞めて転職してきた女性。大学院を出て、新卒で入った男性。千葉県木更津市に誕生した約9万坪の農場「KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」には、高い学歴や華やかなキャリアを持つ30歳前後の若者たちが働いている。

都会を捨て、農場で生きる道を選んだからといって、もちろん世捨て人でもなければ、自給自足で自己満足に浸っているわけでもない。むしろ、彼らが舞台として選んだこの農場は、一般に向けてしっかりと開かれている。持続可能な社会を体験できるパーク型ファームだ。

「もともとお菓子作りが趣味だった」と話す小林真理さん(30)は、父親の大反対を振り切って総合商社を退職。今は毎日、「KURKKU FIELDS」でシフォンケーキを焼いている。

兵庫県在住の伝説のパティシエ・小山進さんの下で修業して生み出したそのシフォンケーキは、農場で飼育している牛のミルクと鶏の平飼い卵を使用。口に入れた瞬間に溶けそうなほど柔らかく、この味と食感を求めて来る人もいるほどだ。

「将来は研究者になるつもりだった」と話す新井洸真さん(27)は、筑波大学大学院時代に、ある理由から人生の方向転換を決断した。就職活動中に、プロジェクトスタッフを募集していたこの農場の存在を知り、インタープリター(解説者)として採用されたのは2年前。今は1ミリの後悔もなく、「こういう働き方をするのが理想だった」と思いながら、充実した日々を送っているという。

学歴やキャリアにしがみつくことなく、若くして人生の方向転換を決めた彼らは、なぜ都会を離れて自然と共生する道を選んだのか。そこには明確なビジョンがあった。

すべて農場産の食材でつくられた料理の数々

平飼い鶏の卵の黄身はなんとレモンイエロー色(撮影:東洋経済オンライン編集部)

「KURKKU FIELDS」の敷地内には、有機野菜を栽培している農場、養鶏場、牛舎、食肉加工場があり、ダイニングで提供している料理はほとんど農場産のものを使用している。

農場トマトのラタトゥイユ、猪肉のソーセージ、作りたての水牛モッツアレラ、平飼い卵かけごはん……。自然の恵みそのままのおいしい料理の数々に思わずため息が洩れた。

一つひとつの料理の説明をしてくれた小林さんが、最後に、手作りのシフォンケーキを運んできてくれた。

「この農場の牛から搾ったミルクと平飼い卵を使ったシフォンケーキです。ここで育てたものを、すぐに調理して食べていただけるのがいちばんうれしいですね」

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