中野 まあ、年末年始の相場に関していえば、NISAの影響もあったと思います。昨年末に利食いをして、10%の軽減税率を生かすとともに、年明けにNISAの口座を使って買いに動いた個人も多かったのではないでしょうか。だから、昨年12月と今年1月の動きに関しては、あまりあてにならないとみています。
藤野 その意味では、昨年11月から、この2月までで、「往って来い」の相場になるということですね。
中野 年末にあれだけ日本株が上がったのだから、ある程度の調整は仕方がないでしょうね。今の状況は、リスクオフになると円が買われ、日経平均株価が下落する。この構図は変わらないと思います。
渋澤 昨年の10、11月と比べて、企業のファンダメンタルズも、マクロ経済の状況も、特に大きな変化はありませんからね。単なるマインドで相場が動いたとしか考えようがない。だから、この下げはリセットという意味でいい機会だったように思えます。
消費増税後のポイントは、春闘と夏のボーナス
藤野 ただ、NISAでちょっと気掛かりなのは、若者がなかなか口座を開設しないということですね。この間も、新聞に記事が掲載されていましたが、NISAの口座を開設した人たちは60代が中心で、現役世代はかなり少なかったようです。特に若い人たちについては、関心がない、おカネがない、投資に関する知識がない、といって「3つのない」がNISA口座を作らない最大の理由とされていましたが、もうひとつ言えば、金融機関が若い人たちに対して真剣に向き合って来なかったというのも、大きな理由だと思います。
中野 同じく税金に関したものだと、4月から消費税率が8%に引き上げられるじゃないですか。2月前半の株価下落は、まだ、消費税率の引き上げを織り込んではいませんよね。となると、これから大きく下げるのでしょうか。
藤野 消費税率の引き上げについては、誰もが分かっていることですから、もう織り込まれているでしょう。問題は、実際に引き上げが行われた後、どのくらい景気が落ち込むかということです。ただ、いろいろな方に話を聞くと、4月の数字が悪くて株価が下げたとしても、そこは買いだという人も多いようです。
中野 仮に4月の数字が悪くても、その後で回復すれば問題ありませんしね。
藤野 ポイントは春闘と夏のボーナスです。それに、消費税引き上げ後については、景気の落ち込み幅がマーケットの想定内に収まれば、株価の上昇につながるでしょうし、逆にマーケットが想定していた以上に落ち込めば、株は売られるでしょう。
でも、マーケットは4月の8%への引き上げが行われたら、次は2015年10月に予定されている10%への引き上げを読み込みに行くと思うのです。8%から10%に引き上げられないと、日本国債が暴落して長期金利が急上昇するおそれがありますから、政府としては何としても10%に引き上げたいところでしょう。
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