「群馬県」が映画撮影ロケ地に選ばれやすい背景

映画「影踏み」は地元協力得てオール県内撮影

森田芳光、金子修介、根岸吉太郎といった監督の作品に助監督としてつく傍ら、『RUNNING HIGH』『草の上の仕事』といった自主映画で注目を集めていた篠原哲雄監督が、当時演技未経験だったミュージシャン山崎まさよしを主演に迎えて発表した青春映画だった。

人気バンドを解散し、スランプに陥ったミュージシャンが、ひとりの少女と心を通わせることで、自分を取り戻していくさまを描き出した。エモーショナルな主題歌「One more time,One more chance」のヒットと相まって、多くの観客に愛された。

伊参スタジオ映画祭が『影踏み』製作のきっかけとなった。写真は2019年の映画祭で『影踏み』上映時の舞台挨拶 (写真:上毛新聞社)

あれから23年。山崎まさよしとしては、『君から目が離せない~Eyes on you~』の主題歌提供で篠原監督作品に携わっていたが、俳優としては『影踏み』が23年ぶりのタッグ作となった。そのきっかけは「伊参スタジオ映画祭」であった、というのは先述した通りだ。

2016年11月に開催された「第16回伊参スタジオ映画祭」では、『月とキャベツ』公開20周年記念上映会が行われ、ゲストに篠原哲雄監督、山崎まさよし、真田麻垂美らが登壇。そしてその日の同時上映作品が『64 ロクヨン』。こちらには原作者の横山秀夫らがゲストとして登壇していた。

実写作品でも「聖地巡礼」に訪れるファンは少なくない

横山作品の大ファンだったという山崎は、この日の映画祭控え室で横山との対面を果たし、意気投合。ガッチリと握手を交わしたという。横山も『月とキャベツ』の大ファンだったということで、その場で横山が「ぜひ僕の原作で、また映画の主演をやってください」とラブコール。その後、横山から篠原監督×山崎コンビで「影踏み」を映画化してはどうかと提案があり、企画が一気に進んだという。

廃校を改装した「伊参スタジオ」。「月とキャベツ」展示室も併設されている (写真:伊参スタジオ映画祭実行委員会)

『月とキャベツ』の聖地と呼ばれている「伊参スタジオ」は、群馬県が出資し、小栗康平監督がメガホンをとった群馬県人口200万人記念映画『眠る男』(1996)の撮影拠点として、廃校となっていた旧中之条町立第四中学校を改装した施設。

古びた木造校舎は、撮影スタジオ・ロケ隊の合宿所としてリノベーションされ、ここを拠点に数々のテレビ、映画作品が撮影されてきた。また、施設内には『眠る男』『月とキャベツ』などの展示室も併設され、貴重な資料を一般公開。他県からも「聖地巡礼」に訪れるファンが多く、多い時は年間に1万5000人が来場した時もあったという。

結果、映画公開から20年以上経った現在でもコンスタントに集客を続ける息の長いコンテンツとなった。

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