会社員が消えた後に「お互い様」で生き残る方法 「多動力」ではなく「他動力」の時代になる?

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これに備え、現在取り組んでいるのが「地域資源とITによる減災・見守りシステムの構築」と名付けたプロジェクト。寺や神社などの宗教施設を通信や電力など災害時のインフラ拠点とする構想だ。今年の台風で大規模停電が起きた千葉県では、寺の近くに風力・太陽光の発電機や蓄電池を設置し、多くの人が殺到したという。

稲場圭信(いなば・けいしん)/1969年、東京都生まれ。ロンドン大学修了。神戸大学を経て、大阪大学大学院人間科学研究科教授。博士(Ph.D.宗教社会学)。著書に『思いやり格差が日本をダメにする』(NHK出版)、『利他主義と宗教』(弘文堂)、編著に『震災復興と宗教』(明石書店)、『災害支援ハンドブック:宗教者の実践とその協働』(春秋社)など(写真:サントリー文化財団)

稲場氏によれば、国内に神社は8万5000カ所、寺院は7万7000カ所。そのほかも合わせれば、宗教施設は18万を数える。コンビニの4倍、小学校と公民館のそれぞれ9倍に上る地域資源であり、ピーター・ドラッカーが「日本には昔からすごいNPOがある」と評したほどだという。稲場氏が2014年に行った調査では、全国で300を超す自治体が計2400カ所の宗教施設と連携し、帰宅困難者対策に乗り出していた。

「宗教社会学者である私が、宗教と科学技術との融合に取り組むのは、自分が『知のキュレーター』のモデルとなり、学生もこれを担う人材に育ってほしいから。従来のたこつぼ化した『専門知』から、キュレーションによって『統合知』を生み出し、産官社学連携やパブリックセクターとの共同で『現場知』から『共創知』を作る。そして、レジリエンス(災害などへの強度・復元力)と共生社会を構築していきたい」

会社員がなくなり、自営業者が増えていく

続く大内氏は、労働法の研究者。冒頭にこんな未来予測を示した。

「AIやロボットは人間の仕事を確実に、相当な部分で奪っていく。その過程で会社員という、企業に雇用されて働く形がなくなり、インディペンデントな自営業者がどんどん増える。企業への従属労働を前提とした労働法もなくなっていく」。

なぜ会社員がなくなるのか。理由をこう説明する。

大内伸哉(おおうち・しんや)/1963年、兵庫県生まれ。神戸大学法学部助教授を経て、現在、神戸大学大学院法学研究科教授。博士(法学)。著書に『労働条件変更法理の再構成』(有斐閣)、『君の働き方に未来はあるか?』、『勤勉は美徳か?』(いずれも光文社新書)、『AI時代の働き方と法』(弘文堂)、『会社員が消える』(文春新書)など(写真:サントリー文化財団)

「これまで知的労働と言われていたものでも、実は機械に置き換えられる定型的な業務がかなりある。人間に残されるのは非定型的な業務だが、これは企業が人を集めて働かせ、利益を得るという形には適さない。知的創造性というものは指揮命令のもとで働いても生まれてこないので、個々人の自律性に任せたほうがいいということになる」

では、これからの労働はどうなるか。

歴史を振り返り、大内氏は考察する。農業の誕生から古代ギリシャ・ローマの奴隷労働、中世の農奴、フランス革命と産業革命などを経て、近代資本主義下の従属労働の時代へ。だが、長らく続いてきたこの形も、急速な技術革新により、「第四次産業革命」の時代に入った。IoT、AI、ロボティクス……政府が打ち出す「Society 5.0」は、脱・大企業の時代になる。

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