第4回 「絆」から考える親切大国・ドイツ

国のコンセプトは「社会」

ドイツは国のありかたを「社会国家」としているのが特徴だ。どういうところにそのコンセプトが現れるかというと社会保障などの分野だろう。しかも「福祉国家」とはいわない。

「社会」と「福祉」いったい何がどうちがうのか分かりにくいが、福祉というのは実は上から給付してもらうというような印象が強い。そうではなくて、自己責任と連帯でもって医療保険や年金などの社会保障を実現しようということなのだ。
 もっとも政治のかけひきで、実質「福祉国家」のようになってしまった面はある。経済成長が著しい時期はまだよかったが、結局、今日も継続的にあの手この手で手直しを続けているのが現状だ。それでも一応、原理ははっきりしている。
 クリスマスや新年のときの大統領・首相のメッセージがテレビで放送されるが、「連帯」という言葉はよく登場する。

そういう助け合いのことをいう時に「社会的」という言葉もよく使われ、場合によっては社会保障を指すこともよくある。
だから選挙の時には「もっと“社会的”を!」といったようなスローガンが掲げられることがある。
 日本語に直訳すると何が何だかわからないが、要するに社会保障をもっと充実させろという主張だ。

面白いのは人に親切にしたり、みんなのことを考えて行動するような人のことを「社会人」と表現されることがあることだろう。
 日本語で「社会人」というと通常、会社などで働く人のことを指すことが多い。もともと「社会」という言葉は輸入ものだったので、日本で独自の文脈で発展してしまったせいだが、それにしても誰もが社会のなかで生きているというふうに考えるドイツから見ると、ちょっと奇妙な使われ方に見える。

同様に日本の新聞の「社会欄」とか「社会部記者」というのを直訳してドイツの人に見せると、おそらく社会保障とか福祉、ボランティア、労働組合などを専門にするページやジャーナリストと解釈するような気がする。
 「女性の社会進出」というのもドイツ語に直訳すると大変奇妙な言葉だ。

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