第4回 「絆」から考える親切大国・ドイツ

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困っていれば手助けをする

連帯という言葉が日本でよく使われるのは労働運動とか左翼系の分野。あるいは「連帯保証人」というようなところで登場する。場合によっては、ちょっとひいてしまうような使われかただ。

ドイツでも同様に労働運動、抵抗運動、すなわち力のない者たちが連帯によって、力のある者に抵抗するというイメージもある。
 しかし、兄弟で軽い風邪をひいた子供たちが「風邪ひきの病人連帯でもって、ぜひ学校を休みたい。ねっ、いいでしょ、おねがーい!」と親に懇願するような可愛らしい連帯もあり、ドイツでの使われ方は幅広い。

底床型のバス。ベビーカーもたたまずに乗せることができる

自分とは全く関係のない他人でも、困っていれば手助けをする。こういう連帯の考え方が身近なところで発揮されるのが、電車やバスだ。
 妊婦さんや歩行が大変そうな高齢者などが乗ってくると、さっと席を譲る。車椅子の人やベビーカーを押している人がいるといわずもがな。
 筆者も子供が小さいときにベビーカーを押してバスに乗ることがしばしばあった。人並みに歳相応の体力がある筆者にはベビーカーだけなら、たいして負担でもない。それでも私よりはるか年上のおじいさん、おばあさんが席を譲ってくれたり、ベビーカーをバスに乗せるのを手伝ってくれたことがある。
 ちなみにバスも底床型で、バス停ではググっと傾き入り口も広い。それでも人々は手伝うのだ。

「なるほどなあ」と思ったのがスーパーでのレジだった。
 長年ドイツは「サービス砂漠」と揶揄されており、「おもてなし」「お客様は神様」が経営に組み込まれた日本の小売店と比べると、ずいぶんぶっきらぼうに見えることがある。
 しかしながら、スーパーのレジにならんだ高齢者が、財布からお金を出すのに困っていると、レジ係の人が親切に手伝う現場に何度か出くわしたことがある。業務としてのサービスはないが、一般的な連帯は機能するということなのではないか。

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