「自分の地域で」が奏功
今年の夏、日本在住のドイツ人のある女性が「ついに日本でも緑の党ができましたね」と少し驚きを込めて筆者に語った。7月28日に結成総会を開いた「緑の党」のことだった。環境問題を20世紀の大量生産・大量消費の反省として考えると緑の党は必然的に出てくるといえるが、日本でも小さな運動は続いていたもののなぜかなかなか生まれなかった。
理由はいろいろ考えられるが、68年世代と団塊世代と比較してみるときに浮かんでくるのが、各地域での政治活動ができる環境の有無だ。団塊世代は長髪を切って、結局のところ都市圏の企業戦士になったというふうに言われる。それに対して68年世代は各地域できちんと生活をした。
つまり職住近接で労動時間が短く仕事以外の時間がたっぷりあったので、地域の道路建設や教育分野など、様々な課題の実現にむけた運動を展開した。草の根型の民主制を標榜したのも地域政治と相性がよかった。それに中間層で高学歴の彼らは身も蓋もない言い方をすれば、地元の様々な分野で課題を見つけて言論化していける能力ある。
また地方議員の多くは無報酬だが、選挙にもカネがほとんどかからない。つまり普通に働きながら市民政治家として活躍できる。さらにNPOに相当する組織形態も古くからあったため、様々な地域の課題に対して具体的な実行もしやすかった。
緑の党は68年世代がエンジンになった党だが、地方できちんと活動できるライフスタイルがあった。これが緑の党を大きくした重要な背景であり、「環境問題に強いドイツ」をつくった一因だと思う。
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