東京生まれ42歳の彼がタイに見つけた居場所 高校中退後に単身渡り、天職と家族を築いた

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それから高田さんは30歳までには結婚したいと考えるようになった。ただ結婚は今日明日でできるものではない。まずは相手が必要だ。

タイ語の学校に通っていたときに住んでいたアパートの隣室に元ホステスの女性が住んでいた。彼女には日本人のパトロンがつき、働かずに悠々自適に暮らしていた。その女性の趣味はトランプだった。

「タイ人の女性は賭けトランプが好きなんです。ハマる人も多いので、店頭で販売していないくらいです。店員に頼まないと買えないんです」

その女性にある日「ご飯を食べに行こう」と誘われた。彼女と一緒に彼女の賭け友達の家に遊びに行った。

「その賭け友達が今の妻の叔母だったんです。妻はたまたまその場にいました。会った瞬間に『この人と結婚するだろうな』って思いました」

最初はまったく相手にされなかったが、結局付き合うことになり2006年に結婚した。

電気部材商社から一転、フリーライターへ…

夫婦生活を続けながら、ゆくゆくは子供も欲しいと思うと、無料誌の編集の給料ではとても無理だと思った。

海外で不安定な生活をしながら、結婚し子供を作ろうと思うのには強い覚悟が必要だと思った。

「2005年に人材紹介会社を通して、電気部材を専門で取り扱う商社に入りました。無料誌の編集部とは違う、とても真面目な仕事です」

今までの不規則な仕事とは違い、8~17時の間だけきっちりと働けばよかった。給料も前職の3~4倍になった。

ただ仕事は面白くなく、つらかった。

『嫌なことからは逃げる』の信条通り辞めたくなったが、子供ができてしまったため、今回ばかりは簡単には逃げられなかった。

そんな2011年、かつて高田さんとレスキューのことを書籍で取り上げてくれたことがきっかけで知り合ったライターの皿井タレーさんと『バンコク 裏の歩き方』(彩図社)という本を共著で出すことができた。

「もう会社で働くのも限界にきていました。妻にできあがった本を見せて

『この本さえあれば明日からバンバン、ライターの仕事入ってくるから大丈夫!!』

とウソをついて、その日のうちに辞表を出しました」

ただ会社も引き継ぎがあって、すぐに辞めることはできなかった。結局2011年の3月に正式に退社した。

次ページ日本の出版社から仕事をもらう予定が…
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