東京生まれ42歳の彼がタイに見つけた居場所 高校中退後に単身渡り、天職と家族を築いた

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小言の後に母親から、少しまとまったお金を渡された。途中で中退したため、いくらか学費が返ってきたのだ。母親は

「高校を中退したら、お前はもうまともな人生は歩んでいけないだろう。もう今後旅行ができる人生はないだろうから、このお金で最後の旅行してきたら?」

と言った。

「今思うと随分ひどいこと言われてますね(笑)。ただしっかりお金は受け取って、17歳のときに1人で北海道を回りました」

バイクが好きだったので、バイク便の仕事を始めた。その頃には、船乗りになりたかったことはすっかり忘れ、オートレースのレーサーになりたいと思った。オートレースの選手になれたら、

「バイクに乗って、高額な賞金ももらえる。それなら悪くない」

と考えたのだ。しかし試験には落ちてしまい、それ以上頑張る気はしなかった。

「ちょうど元SMAPの森且行さんが試験に受かった年でした。ああいうカリスマ的な人が受かるものなんだなって諦めました。やっぱり『頑張らない』が信条ですので(笑)」

大学入学資格を得た後、タイへ

大学入学資格検定(現在の高等学校卒業程度認定試験)を受けて、資格を得た後は外国へ行くことにした。

「当時、よく読んでいたサブカルチャーの本によくタイが登場していたんですよね。そこに民間のレスキュー隊のことも書いてあり興味が湧きました。

母親には一生旅行はできないと言われましたが、当時は実家暮らしでお酒も飲まなかったので、お金は貯まってました」

格安の航空券とタイのガイドブックを買い、まずは飛行機に乗った。

「ただ、当時はそもそもどこにタイがあるかも知らないくらいでした。飛行機の中で、『到着したらどこに泊まればいいんだろう?』って考えていました」

夜中にドンムアン空港に到着したが、もうすでにバスも電車もなかった。空港の近くで

「いったいどうすればいいんだ?」

と、途方に暮れていると、中東系と北欧系のカップル旅行者が

「お前カオサンに行くんだろ? 一緒に行こうぜ」

と英語で話しかけてきた。

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