関電不祥事を機に原発は消滅の道をたどる 専門家に聞く、関電「金品授受問題」の本質
取締役の善管注意義務違反の可能性も
──今回の不祥事の本質をどう捉えていますか。
コーポレートガバナンスの観点から見た場合、まったく弁解の余地がない。森山氏の影響力が大きく、いかに特殊な事情があったにせよ、森山氏の死去後の6月の株主総会においてすら事実を公表しなかったのは極めて問題だ。
関西電力の首脳は「法律違反には当たらない」などと述べているが、取締役の善管注意義務に違反しているのではないか。原子力の推進に影響が生じ、長期的に企業価値を下げる可能性があることは明らかだ。
──株主総会までに関電が自発的に明らかにしていたらどうなっていたでしょうか。
岩根社長が辞任に追い込まれる事態は避けられたかもしれない(注:岩根氏は第三者調査委員会の報告書受領を踏まえて辞任すると、10月9日に表明した)。受領したこと自体は問題だが、岩根氏が就任祝いとして受領した150万円相当の金品と、豊松秀己・元副社長ら原子力事業本部の幹部が受け取っていた1億円相当とでは意味合いが異なる。
自身を含めてきちんと事実関係を明らかにし、きちんと社内処分をしたうえでその内容を公表していれば、(経営陣の)総退陣というボロボロの姿にはならずに済んだかもしれない。岩根氏自身は短期政権で終わったかもしれないが、次の体制に引き継ぐ余裕は今よりあったかもしれない。
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