我慢弱い子ほど「高収入・高学歴」に縁遠い理由 「マシュマロ実験」が明らかにした衝撃事実

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では、どんなときにCシステムが鈍ってしまうのか。まず注意すべきなのが「睡眠不足」です。え、そんなこと?と思われた方も多いかもしれません。でも、実は睡眠不足が意外なほどCシステムに悪影響を及ぼすのです。実際に、そのような実験結果がいくつか出ています。

例えば、ある調査では、睡眠が不足しがちなグループと、十分に睡眠をとっているグループを比較したところ、驚くべき部分で違いが認められました。なんと睡眠不足の人たちのほうが、いわゆる「ワンナイトアフェア」と呼ばれるパートナー以外との交渉が多かった。要は浮気行動に出やすかったのです!

自制心低下によるダメージは大きい

さらにはもう1つ、睡眠時間と食べ物に関する実験があります。こちらは8日間にわたって人為的に睡眠不足にしたグループと、正常に眠らせたグループの、1日当たりのカロリー摂取量を比較したものです。

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それによると、睡眠不足のグループのほうが1日当たり約500キロカロリーも多く摂取してしまったといいます。500キロカロリーといえば、軽めのラーメン1杯分、ご飯ならお茶碗で約2杯分にあたりますから、これはかなりのものですよね。

睡眠が不足することで、普段は働く「浮気はいけない」という自制心が鈍くなり、後先を考えずに浮気行動に出てしまう。同じように睡眠不足で「これ以上食べてはいけない」という自制心が鈍くなり、毎日ラーメン1杯分も多く食べてしまう。たかが睡眠不足とはいえ、これによって起こる“判断ミス”とそのマイナス効果は、イメージ以上に大きなものとなりうるのです。

中野 信子 脳科学者

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なかの のぶこ / Nobuko Nakano

医学博士、認知科学者。1975年、東京都生まれ。東京大学工学部卒業。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所にて、博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。現在、東日本国際大学教授。著書に『脳内麻薬』『ヒトは「いじめ」をやめられない』『サイコパス』などがある。テレビ番組のコメンテーターとしても活動中。

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