我慢弱い子ほど「高収入・高学歴」に縁遠い理由 「マシュマロ実験」が明らかにした衝撃事実

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さらにさらに、その23年後、つまりは彼らが45歳になったときにもう一度、追跡調査が行われました。するとマシュマロを我慢できたグループのほうが明らかに社会経済的地位(SES)が高かった。いうなれば、より“成功”していたのです。

目先の欲望にとらわれることなく、長期的な利益を考えて判断できる人は、人生で成功しやすい。そのことを長期にわたる調査で証明した同実験は、「人間行動に関する検証で最も成功した実験の1つ」ともいわれています。

でも、マシュマロ実験の結果は裏を返せば、子ども時代の“自制が利く”という資質は、大人になってからもずっと継続するということ。つまり、子どものころにその資質がなかった人は、大人になってからではもうどうしようもないのでしょうか?

いえ、決してそんなことはありません。情動にブレーキをかけ、長期的に見てよりよい判断を下すための「Cシステム」は、大人になってからでもちょっとした工夫で伸ばすことができるのです。

目先の利益に惑わされないコツ

目先の利益を我慢し、後々もっと大きな利益を上げられるほうを選択する。そのためには、いくつかコツがあります。

まずは、目先の利益が目に入らないようにするのが効果的です。例えばダイエットなら、なるべく食べ物やそれにまつわる情報が視界に入らないようにする。ある実験では、目の前にお菓子を盛ったかごを置くのと置かないのでは、食べる量が20パーセントも変わってくるというデータが出ています。

ですから、もしあなたがダイエット中なら、家の中や仕事場の目につく場所にはできるかぎり食べ物を置かないようにする。また、食べ物に関する記事やテレビ番組にも極力触れないようにする。まさに前述のマシュマロ実験で、子どもたちが何とかマシュマロを食べないようにしたときの工夫と同じことですね。

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