アカデミー賞候補!短編映画『八人目の侍』が誕生するまで《ハリウッド・フィルムスクール研修記7》
AFIでは毎年、生徒と業界関係者をつなぐ試みとして、ハリウッドの代表的な映画館「アークライト」の1スクリーンを数日貸切り、卒業製作をお披露目する「AFI Showcase」を開催しています。
『8TH…』のアンブロシーノ監督は、メジャー作品を過去手掛けてきたプロデューサーとこの場を通じて知り合い、次回作の監督オファーを受けました。また、韓国の著名映画監督からも誘いを受け、今春3カ月韓国に滞在し、脚本を執筆。彼のプロデュースの下で、監督を務めることも決まっています。
それに加え、構想段階ではあるものの、日本の業界関係者からも『8TH SAMURAI』の長編化について申し出を受けているとのこと。
まさに脚本を生み出すところから、作品の業界試写まで、フィルムスクールはサポートをします。もちろん、競争の激しい業界ですので、MBAのように「卒業後平均年収」といった結果の保証はまったくありませんが、年間数人がその機会をフル活用し、チャンスをつかんで卒業していきます。
周囲の談によれば、アンブロシーノ監督は1年生のころはそれほど目立った生徒ではありませんでした。しかし、その1年で得た下地を基に製作した『8TH SAMURAI』で、才能が開花したといえるでしょう。
アカデミー賞については当然意識しつつも、「今集中すべきは、韓国で撮る長編。これが自分の将来を決める」とすでに意識は次回作に向かっています。
かくいう私自身の卒業製作プロジェクト、こちらは今年12月の撮影に向けて鋭意準備中です。こちらの進捗は、また研修記のなかで報告していきたいと思います。
木野下 有市 (きのした・ゆういち)
1980 年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業後、広告会社にて大手飲料・製薬メーカーの広告キャンペーン等を担当。2008 年8 月よりアメリカン・フィルム・インスティテュート(AFI/米国映画協会)大学院にて映画プロデュースを専攻。ギャガ会長・東京国際映画祭チェアマン依田巽氏の寄付で設立されたAFIの奨学金を受け、芸術学修士の取得を目指して勉強中。
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