アカデミー賞候補!短編映画『八人目の侍』が誕生するまで《ハリウッド・フィルムスクール研修記7》
私の作品には、クリエーティブメンターとしてベルリン国際映画祭で金熊賞(グランプリ)を過去に受賞した映画監督、製作面のメンターとして『ジュラシック・パーク』のプロダクション・マネージャーがついています。彼らと週1回のペースで打ち合わせをし、自分たちの問題点や不安に思っていることなどを相談することができます。
もう1つ特徴的なのは、学校側が「スタジオ」の役割を果たしていること。これが何を意味するのかと言うと、予算計画のみならず企画に対してまでも、逐一学校の許可をとらなければいけないということです。
私自身、今夏にメジャースタジオで勤務して感じましたが、ハリウッドのスタジオは決してプロデューサーやディレクターに対して企画を“丸投げ”することはありません。逆に、上がってくる企画に対して反論したり、修正の指示を出すことこそが、スタジオの存在意義だと彼らは考えています。
スタジオの例にのっとり、学校側から、「このシーンは費用対効果が悪いからカットしろ」というような指示が出ます。逆に学校側に反論し自分たちの意見を通すためには、詳細な提案書を作って決済をもらう必要があります。
以上のようなメンターシップや、仮想スタジオ・システムを通じて、ストーリーは強化されますし、事前準備も徹底されます。フィルムスクールでは他人に理解されない自己満足的な要素は容赦なく排除されていきます。
プロの役者が出演
ストーリーに加えて重要なのが、役者です。AFIでは、基本的にハリウッドの俳優組合(SAG=Screen Actors Guild)に所属しているプロの俳優を起用します。
『8TH…』の主演は、映画『硫黄島からの手紙』で後半重要な役割を果たす大久保中尉を演じた尾崎英二郎氏。また前半で二宮和也(嵐)の相方役を務めた松崎悠希氏はじめ、多くのロサンゼルス在住の日本人俳優が出演しています。