城巡りで新風?「御城印」が密かな人気の理由 「スタンプラリー」を超えた新しい発見がある

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さて、「城巡りの楽しさをさらに増す新たな仕組み」として、新たに注目を集めているのが「御城印」(ごじょういん)だ。各城の売店などで購入できる「来城記念証」のことで、葉書ほどの小さな用紙に、城名などの揮毫、城主の家紋などがデザインされている。寺院参詣の証書「御朱印」と形状は似ているが、御城印には宗教的な意味はない。手書きの御朱印とは異なり、書き置き式の用紙を購入する。

「昨年末までは50種類もありませんでしたが、今年になってから一気に増え、すでに100種類を超えています」と、今夏発売された『はじめての御城印ガイド』の担当者、株式会社学研プラスの早川聡子さんは言う。9月初旬で全国に出回っている御城印は少なくとも130種類以上にのぼり、増え続けている。

福井県美浜市にある国吉城歴史資料館と御城印(写真提供:若狭国吉城歴史資料館)

御城印が増えている「3つの要因」とは?

では、なぜ御城印はこれほど増えているのか。要因は大きく3つ挙げられよう。1つは「購入の手軽さ」だ。価格は200円から300円と手頃で、登城記念としても、お土産としても負担にならない。また、書き置き式のため、通常は長蛇の列に並ばされることもなく、簡単に入手できる。

2つ目は、「収集のしやすさ」。記念コインや置きものなどとは異なり御城印はかさばらず、サイズがほぼ一定のためコレクションもしやすい。

そして3つ目は、「独創性と種類の豊富さ」だ。御城印コレクターであり発行も手がける若狭国吉城歴史資料館(福井県美浜市)の大野康弘館長は、「小さな1枚の紙に、その城の歴史やイメージが集約されているのが最大の魅力」と語る。

確かに、御城印を眺めるだけで城の歴史を知ることができ、思いをはせられる。例えば会津若松城(福島県会津若松市)の御城印は、歴代城主の家紋を通して、目まぐるしく変化した城の歴史がわかる。

また、小田原城(神奈川県小田原市)の御城印を見て、記されている「摩利支天」が天守最上階に祭られている小田原城の守護神だと初めて知る人も多いだろう。月山富田城(島根県安来市)の御城印には落城後に尼子氏再興に奔走した山中鹿之介のシルエットがデザインされ、歴史的舞台に思いを巡らすことができる。

デザインに凝った、個性的な御城印も続々と登場している。彦根城(滋賀県彦根市)の御城印は、城主の「井伊の赤備え」をモチーフにした赤い用紙に、家紋と旗印、通字の「直」が取り入れられている。彦根の文化と歴史が詰め込まれた、アート作品に近い印象だ。

和紙にこだわった御城印も目立つ。郡上八幡城(岐阜県郡上市)や大垣城(岐阜県大垣市)は美濃和紙、大洲城(愛媛県大洲市)は大州和紙、郡山城(奈良県大和郡山市)は石州和紙を使用。地域の伝統的な特産品を用いた御城印には価格以上の価値が感じられ、お土産にも喜ばれそうだ。

鳥取城(鳥取県鳥取市)の御城印は、江戸時代に鳥取藩が御用紙とした因州和紙を使用し、揮毫は地元の書家による国内初の篆書体を採用。地元の作家による陶印もかっこいい。

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