若干の延期もブレグジット実現は見えてきた ジョンソン首相の離脱法案を議会が支持へ

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議事日程が否決されたことを受け、ジョンソン首相は関連法案の審議をいったん休止し、今後の対応についてEUと話し合うことを示唆している。19日までに議会が合意を承認しなかったことを受け、先に成立した法律に基づき、ジョンソン首相は同日、離脱期限の延長を求める書簡を送付している。だが、首相は同書簡への署名を拒否し、あくまで月内の離脱実現を目指すことを示唆する別の書簡を同封した。

署名なし書簡の法的効力を疑問視する声や首相が法律上の責任を果たしていないと糾弾する声もあるが、スコットランドの最高裁判所に当たる民事控訴院は21日、首相が法律上の義務を完全に履行したかの判断を現時点では見送った。

月内の法案成立が難しくなったことを受け、ジョンソン首相は10月31日の離脱期限の延長をEU側と協議するとみられる。合意案が議会の多数を得られる見込みが立ったことで、離脱確定前の総選挙実施も見送られる可能性がある。EU側が署名なし書簡の効力を問題視する様子はなく、法案成立の見通しが立ったことで、延長を拒否する可能性も低い。

今後の法案審議の過程で野党勢力が離脱阻止に向けて新たな一手を打ち出してくることも予想されるが、議会の支持取り付けがある程度見えてきたことで、短期間の延長の末に新たな合意案に基づいてEUを離脱する公算が高まった。

離脱確定後も貿易交渉はいばらの道

離脱確定後も英国にはいばらの道が待ち受けている。合意案が定める移行期間は2020年末までで、それまでに英国はEUは元より諸外国と自由貿易協定(FTA)の締結を目指している。過去のEUのFTAは交渉開始から発行まで最短4年、平均6年かかっており、わずか1年足らずでFTA協議をまとめることは非常に困難だ。

英国は過去数十年、EUを通じて通商交渉を行ってきたため、これに関連する人材も不足している。移行期間は1回限り、1年か2年延長することが可能だが、それを決断する時期は来年7月1日に迫っている。しかも、移行期間を延長すればEUへの追加の予算拠出を求められることが決まっている。離脱直後に延滞料金を支払ってEUの準加盟国としての地位を保全することには、反対意見が噴出するのは避けられない。来年央にかけては移行期間の延長是非をめぐって英国議会や世論が紛糾することが予想される。

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