サウジへの攻撃で「劇変」した原油市場の常識 最悪なら今後スタグフレーションのおそれも

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サウジ石油施設への無人機による攻撃で会見するアブドルアジズ・エネルギー相。一時は国際市場に緊張が走った(写真:AP/アフロ)

9月14日の未明、サウジアラビアの主要石油施設がミサイルを搭載したドローンの攻撃を受けた。サウジへはイエメンのフーシ派武装勢力が以前にも何度か攻撃を行っており、第1報を聞いたときの反応は、「またか」といった程度のものだった。

過去の攻撃は、施設に決定的な打撃を与えることはなく、市場への影響も極めて限定的なものにとどまっていたからである。だが、次に入ってきた情報は、攻撃によりサウジの生産の半分以上が停止したという、極めて衝撃的なものだった。

最初はそのニュースを素直に受け入れることができず「攻撃を受けた施設の半分が止まっただけでは?」などと、勝手な解釈をしていたのだが、その後サウジの国営石油会社であるサウジ・アラムコが、日量570万バレルの生産が停止したことを正式に発表。

エネルギー市場関係者はパニック的な状況に陥った。攻撃があったのが週末で、マーケットが開いていなかったことが不安と混乱を助長する結果となったことはいうまでもない。

「新たな攻撃の可能性はあるか

こうした大きな材料が出てきたとき、市場というのはまず最悪の事態をすべて織り込みにかかろうとする。なにしろ、世界全体の5%にあたる石油生産が一瞬のうちになくなってしまったのだ。

週明け9月16日のアジア時間朝に取引が再開した際、ロンドンのブレント原油先物は一時、1バレル=72ドルに迫るまで、前週末から20%近く急伸。NYのWTI原油は63ドル台と15%以上一気に値を伸ばす展開となったのも、当然の流れということができよう。

相場はその後、サウジ・アラムコが9月末までに生産のすべてが回復するとの見通しを発表。先行きの不透明さに対する不安が後退する中で、アメリカの景気後退懸念もあり、大きく売られる格好となっている。ただサウジの生産は回復しても、将来的な供給不安までが完全に払拭されることはなく、リスクプレミアムの高まりが、いずれ新たな押し上げ要因となる可能性もある。

サウジ・アラムコによると、ドローンの攻撃によって被害を受けたのは、日量145万バレルの生産能力を有する国内第2のクライス油田と、アブカイクにある石油安定化(天然ガス等の不安定な成分を分離する)施設の2カ所。

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