怒りをコントロールできなかったジダン選手の失敗
スポーツの場面では、アンガーマネジメントを知っていれば、犯さなかったであろう失敗の場面を目にすることがある。

右の写真を見て、サッカーファンのみならずとも、2006年のワールドカップ・ドイツ大会、イタリア対フランスの決勝戦を思い起こす人は多いことだろう。
フランス代表のジダン選手が、イタリア代表のマテラッツィ選手への頭突きにより退場となったシーンの写真だ。
ジダン選手が頭突きをした理由については様々な推察が行われたが、マテラッツィ選手によるジダン選手へのなんらかの侮辱発言があったのではという見方が大半である。
ジダン選手自身も「……彼は非常に厳しく、耐え難い言葉を私にぶつけてきた……」という試合後のコメントを残している。
仮にジダン選手が侮辱されたのだとして、そのような挑発行為に抗議したい気持ちは理解できる。むしろ当然だ。先述したとおり、アンガーマネジメントは「怒ってはいけない」というメッセージを発しているのではない。
しかし、抗議の方法が退場に直結する暴力行為では非難を受けても仕方がないだろう。
ジダン選手は、フランス国の司令塔として、フランス国を優勝に導くことがミッションだったが、売り言葉に対して「反射的に」怒ってしまったものと思われる。
反射的に怒ると、熱くなりすぎて興奮が抑えられなくなり、強すぎる怒りの感情をぶつけてしまいがちだ。
ジダン選手による頭突き→退場の後、フランス国は試合に敗れた。
W杯開幕前、この大会を最後に現役引退することを表明していたジダン選手だったが、イタリア代表のガットゥーゾ選手によると、大会後「(あの頭突きがなければ)W杯決勝の試合後に、ジダンのためにピッチ上で引退セレモニーを計画していた」と明かしている。
国際サッカー連盟からは7500スイス・フランの罰金と3日間の社会奉仕活動の処分を科せられ、パリのポンピドゥー・センターの前には、頭突きの瞬間を再現した高さ5mの銅像が展示された。
ジダン選手がビッグ・ゲームの最中に怒りの感情を制御できなかったことは、いくつかの名誉を失い、あわせて巷間から厳しい非難を受ける顛末となったのだ。
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