第1回 怒りで、ジダンが失ったもの、フェデラーが得たもの

アンガーマネジメントとフェデラー選手の飛躍

スイス・コンサルティング・グループのトーマス・ザイフェル氏が、2010年6月25日に『Leader Harbor』へ投稿した記事のタイトルは、「Roger Federer and Anger Management(ロジャー・フェデラーとアンガーマネジメント)」だった。
http://thomaszweifel.blogspot.jp/2010/06/roger-federer-and-anger-management.html

記事では、テニス界の最高のプレイヤーのひとりであるフェデラー選手が、人生の節目ごとにアンガーマネジメントを有効活用し、成功への階段を徐々に上っていったエピソードを複数紹介している。

1980年代、子供だったフェデラーは、試合中に自分の感情がコントロールできなくなる事が度々あり、ミス・ショットの後は、必ずと言っていいほどフェンスにラケットを投げつけた。

しかし、ピーター・カーターという人物と出会い、試合におけるメンタル面について議論することで、フェデラーは、怒りの爆発によって、どれほど多くのエネルギーを無駄にしてきたかに気付いた。

以来、フェデラーは怒りを爆発させることがほとんどなくなり、ジミー・コナーズやジョン・マッケンローといったキレやすい先人達とは一線を画すようになる。

2005年4月、ナスダック100オープンの決勝戦で、最大のライバルであるラファエル・ナダルに最初の2セットを取られた後、第3セットの9ゲーム目にブレークポイントをミスしたフェデラーは、怒りを爆発させて地面にラケットを叩き付けたことを以下のように述懐している。

「僕は凄く怒って、ラケットを投げたんだ。ミスを続ける自分にガッカリしていて、終わりのない上り坂のような状況でプレーしていたところ、やっと現れたチャンスさえも失って……でもこの怒りが、自分の目を覚まさせてくれたんだ」。 

(AFP=時事)

ここに、フェデラーが若い頃に見せていた単なる短気とは大きな違いがある。フェデラーは怒りの奴隷だったのではない。彼は激昂する感情さえ、彼自身を奮い立たせる力として捉える様になっていたのだ。プレー再開後、フェデラーは試合に勝利し、2005年のナスダック100オープンでの優勝を果した。

アンガーメネジメントは、フェデラー選手がテニス界の成功者となることに寄与した。
 フェデラー選手は、テニス界のみならず、スポーツのアカデミー賞と呼ばれるローレウス世界スポーツ賞を2005年から2008年にかけて4度受賞し、競技の枠を超えた優秀なアスリートとして、極めて高い評価を得ている。
 また、2013年6月に発表されたフォーブス誌「最も稼いでいるアスリート(スポーツ選手長者番付)」によると、フェデラー選手は、2012年からの1年間でスポンサー契約等を含み7150万ドル(約68億円)の収入を得て、タイガー・ウッズ選手に次ぐ世界第2位にランクインした。

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