女前起業家、フィリピンでの愛と野望に燃える 無理だって誰が決めたの? やって証明します!

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子どもたちの夢の数だけ事業を作る!

2010年のクリスマス、毎週、英会話レッスンを行う孤児院で、子どもたち全員の夢を共有した山田さん(前から2列目の右)

2014年は、フィリピンで100の事業を創出するため、ワクワークセンターを設立する。英会話講師の仕事しかないから英会話講師になろうというのではなく、本当に心からやりたいことができるような場を作りたい。子どもたちの夢の数だけ仕事を作り、一人ひとりにかなえてほしい。そんな思いからだ。

「美容師育成コース」の開設に向けて、NPO法人「ふくりびと」の美容師がトレーニング

これまで子どもたちは、夢すら描くことができなかった。

「毎年、クリスマスに孤児院の子どもたちに夢を書いてもらっているのですが、『孤児院から逃げ出さない』とか『ドラッグを吸わない』などと書いていた。それって夢なの?と。

でも、2010年のクリスマスのときに、夢が多様になっていた。毎年、日本から美容師さんにボランティアでカットに来てもらっているのですが、それを見て「将来の夢は美容師」とか。もう感極まって、『オッケー! みんなの夢をかなえられる場所を作ろう! 君たちの夢の数だけ授業を作る!』と宣言してしまいました。冷静に考えたら、けっこう大変です(笑)」。

またしても、根拠のない自信で走り出した山田さんは、資金集めに奔走中。2ヘクタールほどの土地に、美容院やカフェを作る。農場も作りたいし、鶏や豚も飼育したい。どんどん構想が大きくなり、3年間のランニングコストで8000万円かかる見込みだ。「3分の1はファンドレイズできたのですが、残りの3分の2はこれからやっていきます」と、あらたなチャレンジに目を輝かす。今年3月に建設をスタートし、8月にオープンする予定である。

ワクワークセンターの建設予定地
 
「ワクママカフェ」

山田さんは、子どもたちの親の自立を促すために、「ワクママカフェ」の運営も始めた。親にきちんとした仕事があれば、子どものわずかな稼ぎを当てにせず、子どもを学校に行かせることができる。ママだけでなく、夫婦そろって「ワクママカフェ」で働いているケースもあるという。

自分の心に正直に生きていける世界を作りたい

「ワクワークのミッションは、フィリピンの子どもたちや若者が、生まれた環境に関係なく、自分の心に正直に生きていける世界を作れたときに、それを証明できたことになる。2009年に出会った子どもたちが大学生になるとき、自分のワクワクすることに夢中に取り組みながら生きていける社会を実現したい。設立から10年になる2019年9月9日をゴールに設定しています」

夫の森住さん(右)は、ワクワーク・イングリッシュのパソコン周辺やデザイン、日本の大学への導入を担当

そのゴールに向かって伴走しているのが、夫でワクワーク・イングリッシュのパートナー、森住直俊さんだ。森住さんは大学院の1年後輩。「社会イノベーターコース」の授業で、事業プランをプレゼンテーションしたときに、山田さんが先輩として来ていた。

「彼女に『それ、フィリピンに来てやったらいいんじゃない』と言われて、同時に一目ぼれもして(笑)。フィリピンで共に活動する中で、作りたい世界が同じだし、この人と一緒に夢を実現したいと思いました」と、森住さんは照れながら振り返る。

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