コネなし“女性和僑”が海外で成功する理由 語学力、資金、人脈、ほぼゼロからのスタート
※和僑に関する前回記事はこちら
昨年11月、タイのバンコクで開催された和僑(=海外で活躍する日本人)世界大会。大前研一氏やライフネット生命・出口氏など多くの著名人たちが登壇する中で、聴衆をくぎ付けにした講演があった。アジアハーブアソシエイションCEOの加瀬由美子氏だ。
バンコクに旅行したことがある人ならば、その広告は必ず目にしたことがあるだろう。タイに古くから伝わる「ハーバルボール」という伝承療法を使ったマッサージが、日本人をはじめ、各国からの旅行者を中心に人気を集めている。バンコク市内を中心としてタイ国内に5店舗、タイ国外にも3店舗を運営し、年間の客数はなんと20万人。「タイ王国ベストマッサージ」「輸出推進最優先企業」などにも選出され、この10年で大きく成長した企業だ。
増加の一途をたどる和僑だが、今回の世界大会の会場を見渡してみても、女性はまだまだ少ない。ざっと数えてみたところ、10人に1人といった割合だろうか。それについて、加瀬さんはこう語る。
「確かに、女性はまだまだ少ないです。でも、タイは女性の社会進出が盛んですし、サポートも得られやすいので、能力と柔軟性を兼ねそなえた日本女性が活躍できるチャンスはたくさんあると思います。最近は女性のほうが元気だし、頑張っている人も何人かいるんですよ」(加瀬さん)
成功すればリターンが大きいとはいえ、発展途上国での経営はリスクが高そうに感じる。女性ならばなおさらだ。異国の地で和僑として戦う女性たちは、いったいどんな想いで戦っているのか。
貯金300万円を握りしめてタイへ
加瀬さんは2000年、熱帯雨林調査のアシスタントとして、約3カ月間、タイに滞在した。調査は無事終わったものの、帰国直前に急なアクシデントで腰を痛めて動けなくなったという。先の見えない入院生活の中、病院で偶然知り合った人から教えてもらったのが、ハーバルボールというタイの伝承療法だった。
「眉唾かも…という気持ち半分、ワラにもすがりたいという気持ち半分で、毎日使っているうちに1週間で驚くほど回復しました。これって一体どういうものが入っているのかな、どうやって作るのかな、という好奇心から、タイに頻繁に来るようになったのです」(加瀬さん)。
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