守ってあげたい理由は「たぶん死んでしまう」から
フットワークがとにかく軽い山田さんは、行動力は抜群だが、危なっかしくもある。フィリピンで森住さんが山田さんと一緒に道を歩いていたとき、山田さんが元気いっぱいに歩いていてクルマにひかれそうになった。
「こんなにすばらしい活動をしているのに、こんなにハイテンションで生きていたら、たぶん死んでしまう。守ってあげたいという意識が働いた」と森住さん。
か弱いから守ってあげたくなるのではなく、ハラハラするほど猪突猛進だから、脇をしっかり固めてあげたくなる。これは女性らしさとは対極の、「男前」スレスレな「女前」の条件だ。
女性読者で「男前」寄りの人は、いっそのこと、もっと寄って、この線を狙ってはどうか。ただし、境界を越えないように注意して。
フィリピンの現地スタッフは、女性が9割。「みんな僕と同じように、彼女を尊敬し、一緒に頑張っていきたいという気持ちと、守ってあげたいという意識があると思う」と森住さんは話す。
日本人が新興国でビジネスをする場合、「日本流」を押しつけて失敗する例が多い。ワクワーク・イングリッシュでは、何か秘策はあるのだろうか。
山田さんは、40人のスタッフを全員、正社員として雇用し、「ファミリー」と考えているという。
「週報、日報のほか、毎週金曜日に、全員が会社のメーリングリストに、全員に向けて“手紙”を書くことにしています。プライベートでこんなことがあったとか。そうすると、たとえば月曜日にその社員が仕事でミスをしても、『彼女は大学の先生ともめていたから、ブルーなのかな』と配慮することができます」
このおせっかいなまでの優しさは、大企業や男社会ではなかなか見られない。「最近、私と夫は社員にマミィ、ダディと呼ばれています」。
そう、「女前」とは母性である。本来、全女性が持っているものだ。そして、「母親流」は新興国のビジネスでも通用するらしい。
(撮影:今井康一)
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