帝国ホテル、激戦区・京都で新ホテル開業の賭け 2021年に1.2万室が供給過剰でも勝算は?

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京都市内で増えているのはビジネスホテルのような宿泊特化型ホテルだ。こうした業態は収益性の低い宴会場やレストランをほとんど持たず、収益性の高い宿泊事業に特化することで、運営効率を追求する。ただ、開発が容易で、京都のみならず日本全国で急速に数を増やしているため、差別化ができず厳しい競争にあえいでいる。

一方で富裕層が好むラグジュアリーホテルや、宴会場やレストランを持ち、地元に根付いたシティホテルは開発が大規模となる。そのため、そう簡単に増やせないが、しっかりしたブランドや顧客基盤を持っており、街の中のランドマーク的な役割を期待される。京都ではこうしたホテルが不足している。

ラグジュアリーホテルの需要はまだ強い

ホスピタリティー業界に特化したコンサルティング会社「ホーワスHTL」の高林浩司氏は「京都では安価な宿泊特化型ホテルの実績は落ちてきているが、ラグジュアリーホテルはまだ少ない。需要は強いので、もっと増える可能性があるだろう」と分析する。

実際、ホテル不足を訴えていた京都市は無秩序なホテル開発に慎重な姿勢を示した。門川大作市長は9月の市議会代表質問の答弁で、「京都に進出したい企業のオフィスや、留学生の研究所、住宅などの必要性が高まっている。市民生活と調和を図り、市民と観光客の安心安全を最優先し、地域の活性化や文化の継承につながる(宿泊)施設は歓迎するが、そうではない施設は参入を控えていただきたい」と述べた。

2019年8月の東洋経済のインタビューで、帝国ホテルの定保英弥社長は「私は(東京、大阪、上高地の)3ホテルだけでいいと思っていない。できれば、あと1つか2つはいいチャンスがあれば積極的にやりたい」と語るなど、新規ホテルの開業に意欲を示してきた。

激戦市場の京都で帝国ホテルはどういったホテルを開業するのか、9日の発表内容に注目が集まりそうだ。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と2人の娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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