「就活ひきこもり」の社会復帰を阻む4つの壁 カギは「行動のきっかけ」と「伴走者の存在」だ

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298万人分の労働を減らすためには、「単純計算でも最低4%、今よりも生産性を上げる必要がある」と、この調査では指摘しているが、4%という数字は、簡単な数字ではない。70%以上の確率で自動化される仕事は日本の場合は7%しかなく、その7%分すべてが70%の確率で自動化(人がやらなくてもよくなる)したとしても4.9%だ。

AIやRPA(ロボットによる業務自動化)などを活用した自動化に頼るだけでなく、労働環境の改善(ムダな移動や会議の削減)、適材適所による生産性向上を図る必要がある。

こうした対策以外にも労働力不足を補う方法はある。働いていない、もしくは仕事が見つけられない若年層の就業を増やしていく対策だ。

15~34歳の失業者は69万人

総務省の「労働力調査」によると、2018年の平均失業者(就業していないが、1カ月以内に求職活動を行っている求職者)は、184万人いる。そのうち27万人(14.7%)が15~24歳で、42万人(22.8%)は25~34歳という内訳となっている。働き盛りの15~34歳のうち、69万人が失業していることになる。

さらに、求職活動を続けて「3カ月以上」経過しているのは108万人おり、「1年以上」経過してしまっている人は55万人にのぼる。仕事につけない理由で最も多いのは、「希望する種類・内容の仕事がない(51万人)」で、とくに、15~24歳、25~34歳は3割を超えている。

これら働き盛りの10~30代の失業者を社会復帰させることが、「仕事の量」だけでなく「仕事の質」を補填し、人手不足を解消するうえで忘れてはならない有効な対策といえるだろう。

筆者は日々、「既卒(フリーター含む)」や「第二新卒(就業経験が3年以内)」といった20代の若手人材のキャリア支援を行っている。その多くはまだ就職したことがない未就業者であり、就業経験がある人でも1~2年くらいの若手社会人が多い。

未就業者に話を聞くと、「やりたい仕事がわからない」「どんな仕事があるのかわからない」といった情報不足によって仕事につけない失業者もいれば、「就活での挫折」によって求職活動からしばらく遠ざかってしまった人たちがいる。このような若者たちを筆者は「就活ひきこもり」と定義した。

ここでは、部屋や自宅から出られなくなる「狭義のひきこもり」だけではなく、社会に出られずにフリーターやニートとなっている、「広義のひきこもり」も含めて就活ひきこもりとしている。

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