1933年築「日本橋高島屋」、重要文化財の建築美 店内の建築美を余すところなく撮影した

✎ 1〜 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 17 ✎ 18
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2018年9月には、本館に向かって左隣に超高層の新館、本館の後ろ(東側)に東館が竣工。新館の地階から7階までは専門店が、東館にはポケモンセンターなどが入居している。

近年、日本橋や丸の内など東京都心で進んでいるのは、このような歴史的建築を保存しながらの再開発だ。今から約20年前、日本橋京橋地区の将来像を踏まえてのまちづくりが検討された中で、歴史的価値のある高島屋の建物を核として街区を再生していこうという計画が持ち上がった。

当時は、昭和期の建造物も新たに文化財に指定していこうという文化庁の方針が打ち出された時期で、その流れもあり日本橋高島屋は2009年に重要文化財に指定。しかし、デパートとして営業しながら歴史的建築を保全していくことは、挑戦でもあり、大変な事業だったようだ。

文化財指定後も、外壁の保存修理工事、昨年度には正面玄関部の吹き抜け天井の保存修理を行い、現在は村野藤吾による増築部の2カ所の階段(中央階段と南側階段)の保存修理が行われている。

昨年9月に新館がオープン

昨年9月に新館がオープンしてからは、売り場面積が増え、ショップも新たに多数誕生したことで客層も広がったという。新館ができたことで、日本橋に初めて来るようになった世代の顧客がこの建物の歴史性に気づき、本館の価値が相対的に高まったということもあるようだ。

本館内には高島屋史料館TOKYOが設けられ、高島屋の店舗建築やデパートしての歴史などに関しての企画展が行われている。史料館には4階の展示室と5階のセミナー室があるが、5階は旧貴賓室だった場所で、1933年の創建時の内装が残っている。セミナー参加者(事前予約、先着順)のみが入場できるという歴史的な空間にぜひ立ち入ってみたいものだ。

鈴木 伸子 文筆家

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

すずき のぶこ / Nobuko Suzuki

1964年生まれ。東京女子大学卒業後、都市出版『東京人』編集室に勤務。1997年より副編集長。2010年退社。現在は都市、建築、鉄道、町歩き、食べ歩きをテーマに執筆・編集活動を行う。著書に『中央線をゆく、大人の町歩き: 鉄道、地形、歴史、食』『地下鉄で「昭和」の街をゆく 大人の東京散歩』(ともに河出書房新社)『シブいビル 高度成長期生まれ・東京のビルガイド』(リトル・モア)などがある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事