年5000万円赤字の割烹を再興した女将の改革 立ち塞がる義父の先代を緻密に納得させた
JR東京駅から八重洲側へ出て徒歩1分のビルにある、老舗割烹「や満登」(やまと)。明治35年創業、115年続く日本料理店だ。今では多くの日本料理屋で愛されている「本マグロの中トロ」を日本で初めて出したお店とされている。
この由緒正しき老舗割烹の美人女将が、今回の主役妻・成川祐子さん(48)だ。祐子さんが心を配る100坪の店内には、贅を尽くしたカウンターとテーブル席がずらり。広々とした個室が5部屋。数々の調度品を取り揃え、味だけでなく目でも楽しませるギャラリーのような空間となっている。
店内には、東京都中央区に貢献したわずか7名の人だけに贈られたという日本橋にある麒麟像のミニチュア版が。まさに、歴史と伝統に支えられた「や満登」は立地の良さや心づくしの料理ともてなしで連日大盛況を見せている。
しかし、祐子さんがこの店に嫁ぎ女将になる5年前までは、今からは想像もつかない状態だった。
年商1億円のバリバリ女社長が老舗割烹へ嫁入り
高校卒業後、OLとして働いていた祐子さんは32歳で、ウエディングプロデュースの会社を設立。商才を発揮してわずか2年で年商1億円を稼ぎ出す。その後も忙しい日々を過ごす中、結婚をしないまま10年の月日が経っていた。
42歳のある時、知人からお見合いの話が転がり込んだ。聞けばお相手は東京・八重洲で老舗割烹を営んでいる4代目で、人柄も良いという。当の祐子さんは…
「お見合いで人を好きになることは100%無いと思った。知人の顔を立てるために遊び半分で行ってしまった」(祐子さん)
お見合いの場所に指定されたのが、「や満登」だった。知人と一緒に訪れると、そこにはどう見ても還暦を越えているおじいちゃんが、ただ1人。こんなに年上なのかと驚いたが…
「あ、この方は、お見合い相手のお父様です」(知人)
「え、お父様!?」(祐子さん)
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