シンクタンクこそ女性の力をもっと活かせる訳 政策起業力持つ人材を育てなければならない

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今井:自分たちの将来に関わることなので、興味を示す学生も少なくありません。数人ではありますけれども、公共政策の仕事を志す学生もいます。

今井章子(いまい あきこ)/昭和女子大学ビジネスデザイン学科教授。英語論文誌Japan Echoを経て、フルブライトプログラムにてハーバード大学ケネディー行政大学院に留学(公共政策修士号取得)。国際交流基金英文エディター、東京財団常務理事等を経て現職。共訳書に『暴走する資本主義』『格差と民主主義』『最後の資本主義』(いずれもロバート・ライシュ著、東洋経済新報社刊)など(撮影:尾形文繁)

公務員だけでなく、NGOに就職したいとか、企業の公共部門に行きたいとか、そういう学生も出てきているので、彼女たちが社会人となってからも志を持ち続けられるようにするには、私たちが時間や場所をつくってやらなければいけないと思います。

公共政策を志す学生に、「そんなんじゃ、食べていけないよ。世間知らずなことを言ってないで、しっかり働きなさい」と突き放すのではなくて、「じゃ、どこそこで、公共とビジネスをつなぎ合わせるようなことを勉強してきなさい」と言えるような場所をつくってやりたい、と考えると、それはシンクタンクとか政策クラブとか政策コミュニティといった場所がいちばんいいんじゃないかという気がします。

船橋:前回、メンバーシップ型の労働形態が主流の日本では、例えば、シンクタンクのシンカーとしての素養を身に付けるために、レールから外れて、さまざまな場所でいろんな経験を積んでいくことが難しいと、指摘されました。では、ジョブ型の場合、どんなキャリアパスのイメージがあるのか。とくに、女性の場合どうなのか。あるいは、思い描いている将来像と現実とにどんなギャップがあるのか。そのあたりを教えていただけますか。

ジョブ型の受け皿に

今井:1986年の男女雇用均等法は、募集を含め職場での男女の差別を禁じましたが、そこで起こったことは、男女ともに猛烈社員になることでした。それまで、男性に求められていた「24時間戦う」ことを、女性にも求める方向で動き出しました。ところが、みんながそれをやってしまったら社会が回らなくなってしまいます。1999年の男女共同参画基本法のあたりからは、ちょっと落ち着いて男女とも普通に人間らしく生きましょうという方向に転換しました。

けれども、メンバーシップ型の労働形態は、いろいろと綻びはみられますけれど、依然として広く保持されています。終身雇用は生活安全保障上とても魅力的なので、メンバーシップを手放す人はあまりいませんし、大企業なら社内にジョブローテーションがありますから、転職に近いようなドラマチックな体験もできます。ですから、多くの人は若いうちにメンバーシップ型の村社会で生きていく術を得てしまいます。

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