シンクタンクこそ女性の力をもっと活かせる訳

政策起業力持つ人材を育てなければならない

船橋:そうすると、今井さんがいたシンクタンクではジョブ型の女性も多かったということですか。

今井:面白かったのは、男性研究員にもジョブ型の方が多かったことです。その人たちは男女問わず日本ではリスクの高いジョブ型で働き続けていて、非常に高い問題意識を持っていました。研究の提案をして予算を取って、プロジェクトの中心を担ったのは、ジョブ型の人が多かったように思います。

シンクタンク外交

船橋:シンクタンクの役割について、もう少し掘り下げたいと思います。対談の冒頭でアメリカのCNASとの共同研究に触れましたけれど、あれは日米のシンクタンクの連携を意識されてのことだったんですか。

今井:当時は青二才でしたけど、1.5トラックをやることが広い意味での安全保障につながるんだという自負を持って、プレイヤーの1人だと思ってやっていました。今の日韓関係のように、関係が悪化し始めると世論は好戦的な方向にあっという間に流されてしまいがちです。そんなときこそ、専門家の交流や冷静な意見交換は続けなくてはいけませんけど、それが政府間では難しいというとき、政策シンクタンクという迂回路を使ってもらうのがいいと考えてはいました。日中関係が悪化したときも、シンクタンク間交流は続けていました。

船橋:今日の懸案は日韓ですが、私どものシンクタンクも韓国のあるシンクタンクと交流を続けていますが、残念なことに、保守系のシンクタンクであるために文政権とつながりがありません。そうなってくると、1.5トラックをやりたいと思っても、うまくいかず歯がゆい状況ではあるのですが、政府の政策当局者を招いて深堀りした意見交換を行い、そこでの発見や省察を踏まえて、政策研究と政策提言を行い、そのエッセンスを双方の政府のしかるべきところに伝えることは、シンクタンクの重要な機能と役割だと思います。

1.5トラックに加えて、外国政府との関係構築も重要な役割です。政府高官と意見交換するとか、トップをお招きして講演していただくとか、いろいろあると思いますが、どんなことを心掛けておられましたか。

今井:私はまさにその担当だったので、外国政府や海外シンクタンクとの関係構築は強く意識していました。お話をいただいたら、基本的にお受けするよう努力していました。意見交換の場を設けるのは、実は海外のほうが楽なくらいでした。というのも、欧米の知識経済はみなさん横でつながっているので、1つ関係ができると、そこからつながっていきました。

難しいのは、最初のきっかけというか、開拓のところですね。これからの日本のシンクタンクを考えたとき、こういう分野での先行投資は大事だと思います。留学経験があって、ネットワークを持っている若い人たちは大勢いますから、それが10年後には大変な財産になります。そういう人たちの中には、優秀でこの道でやっていきたいと思っていても、生活設計が成り立たないから諦めてしまっている人もいます。そういう人たちを先行投資と考えて取り込んでおくことが大切で、その意味で、フェローシップは重要だと思います。

霞が関や大企業も、若手官僚や優秀な社員を、フェローシップで国内外のシンクタンクに送り出すということをもっとやるべきだとも思います。あの抱え込みは人材を塩漬けしています。

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