人口減だからこそ長時間労働が時代遅れの理由

小室淑恵「働き方改革は売上が上がる話だ」

ワーク・ライフバランス社長の小室淑恵氏(右)と船橋洋一氏が、現在の人口オーナス期にすべき戦略について対談する(撮影:梅谷秀司)
シンクタンク・パワーと政策起業力のフロンティアと日本の課題を、シンクタンクや大学、NPOの政策コミュニティーの現場で活躍している第一線の政策起業家たちと議論する本連載。
連載8回目は、ワーク・ライフバランスコンサルティングを1000社以上に提供している、ワーク・ライフバランスの創業者で社長の小室淑恵氏との対談前編をお届けする。2006年設立の同社は、「残業を減らしたほうが、会社の業績は上がる」ことをデータで示すことで、さまざまな企業や自治体の「働き方改革」をコンサルティングし、今般、安倍政権が旗印の1つとする働き方改革に先鞭をつけた。その実績が評価され、小室氏は内閣「産業競争力会議」民間議員、内閣府「子ども・子育て会議委員」、経済産業省「産業構造審議会委員」など多くの公務を兼任している。

船橋洋一(以下、船橋):本日はお越しいただきありがとうございます。

小室淑恵(以下、小室):こちらこそ、ありがとうございます。私たちはシンクタンクでもないのに、どうしてお呼びくださったのですか。

船橋:小室さんとは今年1月に起業家の方々と20年近くやっている勉強会の恒例新年会で初めてお会いしました。メンバーの1人の山岸広太郎さんのゲストでお見えになられたと思います。そのときに「働き方改革」という旗を掲げて、企業や自治体の働き方を変えるコンサルティングをされてきた小室さんのお話を伺い、これこそまさに政策起業の実践ではないかと深く感じました。そこで今回、ぜひ、このシリーズにお招きしたいと思った次第です。

小室:恐縮です。ありがとうございます。

人口ボーナス期には男性の長時間労働が最適戦略だった

船橋:少し前に、私たちのシンクタンクで『人口蒸発 「5000万人国家」日本の衝撃』(新潮社刊)という本を出版しました。このままだと、日本の人口は21世紀末には5000万人になっちゃうということで大変な問題なのですが、では、どのようにして人口減少に歯止めをかけるか。「増やしましょう」とお題目を唱えるだけでは増えません。増やすためのインフラをどう創るのか、という話をしなければなりません。

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その場合に、仕事と生活をどう調和させ、家族の時間を取り戻すのか、という切実な課題を避けては通れません。小室さんのご著書の『労働時間革命 残業削減で業績向上!その仕組みが分かる』(毎日新聞出版刊)を拝読しますと、人口問題の視点を見据えつつ、「ワーク・ライフバランス」という概念を日本社会に浸透させ、それを見事に実践して「働き方改革」という政策課題にまで押し上げられた政策起業の足跡をたどることができます。まず最初に、なぜ、残業を減らすと業績が向上するのでしょうか。

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