アメリカで見た超一流専門家たちの議論
船橋洋一(以下、船橋):今日は、シンクタンクの実情についてじっくりお伺いしたいと思っています。今井さんとは、東京財団にお勤めだった頃、お仕事をご一緒させていただいたことがありました。非常に強く印象に残っています。2010年で、確か、今井さんが企画したプログラムでしたね。
今井章子(以下、今井):その節はお世話になりました。CNAS(The Center for a New American Security。ワシントンを拠点とし、安全保障に特化したシンクタンク。オバマ政権で国務次官補を務めたカート・キャンベルらが創設)と共同で、どのようにして新しい国際秩序を構築していくかを構想するプログラムでした。
船橋:お声掛けくださりありがとうございました。自分でやりながら申し訳ないのですが、あのプログラムはどういういきさつで生まれたのでしたっけ?
今井:私の記憶では、船橋先生が最初に理事長に構想をお話しされたのがきっかけでした。
船橋:そうでしたかね。それにしても、あっというまに実現にこぎつけましたよね。
今井:今もそうだと思いますが、当時、年度初めに決定される研究予算のほかに、年度途中であっても、必要と思われる政策課題に柔軟に対応するための予算がありました。それを使ったのではなかったかと記憶しています。
私はハーバードのケネディスクール(ハーバード大学の公共政策大学院)留学時代に、アメリカの知的空間というか、超一流の専門家が集まって議論する場がどのように作られているのかを垣間見た経験があったので、そのような場を日本でも作れたらすばらしいと常々思いながら仕事をしていました。
当時、私は広報ディレクターとして政策提言の普及を主に担当しており、とくに日本に関わる政策の英語発信に力を入れていました。日米間のプロジェクトだったこともあって私が担当することになったように思います。
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