日本のシンクタンクが欧米に到底勝てない理由

霞が関が政策立案を独占しているのが問題だ

前回に引き続き、慶應義塾大学総合政策学部准教授の鶴岡路人氏(左)と船橋洋一氏が対談する(撮影:今井康一)
シンクタンク・パワーと政策起業力のフロンティアと日本の課題を、シンクタンクや大学、NPOの政策コミュニティーの現場で活躍している第一線の政策起業家たちと議論する本連載。連載11回目は慶應義塾大学総合政策学部准教授の鶴岡路人氏との対談後編をお届けする。

イギリスのシンクタンクの強み

船橋洋一(以下、船橋):鶴岡さんはヨーロッパとアジアの双方のご専門ですが、イギリスにはRIIA( 王立国際問題研究所=Royal Institute of International Affairs、通称:チャタム・ハウス)、IISS(国際戦略研究所=International Institute for Strategic Studies)、RUSI(王立防衛安全保障研究所=Royal United Services Institute for Defense and Security Studies)と、国際関係・安全保障分野で3つの大きなシンクタンクがありますね。日本のシンクタンクにとって、参考になるようなところはありますか。

鶴岡路人(以下、鶴岡):日本のシンクタンクの参考になるかどうかわかりませんが、3者3様の特色がありますね。IISSは、かつてはシンクタンクそのものでしたが、今では、研究というより、グローバル・コンサルティングといってもよいような活動が増えています。

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船橋:かつては相当深い研究をしていたように記憶していますが。高坂正堯さん(京都大学教授)も若い頃、あそこで研究し、論文(Options for Japan’s Foreign Policy,1973)をAdelphi Papersで発表しています。1990 年代初頭、あそこの主催するシンポジウムで高坂さんとパネルをご一緒しました。

鶴岡:冷戦時代の安保研究でIISSは輝いていました。IISSを含めてイギリスのシンクタンクの強みは、英語が母語であることと、歴史的なネームバリューだと思います。英語が母語だと翻訳などの努力をせずにグローバルにアクセスしたり発信できたりします。

RUSIは1831年創立の世界最古のシンクタンクで、RUSIの看板雑誌である『RUSI ジャーナル』は1857年創刊で、今年で第164巻を迎えます。日本が江戸時代だった頃から、安保のジャーナルを出版していたんです。その重みは想像を絶します。

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